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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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その日、憂樹は家に帰って来なかった。

話が終わった後、憂樹は事務所に残り俺は一人で家に帰ったんだけど
そのまま夜になっても、日付が変わっても
そして朝になっても憂樹は戻らなかった。

電話も無いし、メールも無い。
さすがに母さんが心配したけど、そこは俺が「何かいきなり忙しくなったみたい」と言っておいた。
仕事で泊まりになる、なんてたまにある話だし母さんは納得してくれた。

でも俺は、憂樹が戻らない理由はそんな事じゃないと分かっていた。

少なくとも・・・仕事ではないだろう。

俺と顔を合わすのが気まずいとか・・・。
自惚れっぽい考え方だが、俺が関係しているのは間違い無いだろう・・・。



そして・・・、俺も途方に暮れていた。

結局、告白してもダメだった訳だ。
つまり俺は憂樹に完全にフラれてしまった事になる。

当たって砕けた。見事に玉砕してしまったんだ。

何故だか、あまり悲しくはない。
いや、もちろん悲しいのはあるし悔しいのもある。



しかし、今の俺が一番抱いていた感情は『困惑』だった。



どうしたら良いんだろう。俺は一体何をすれば良いんだろう。

そんな事を考えていた。

不思議にも、まだどうにか可能性が残っているような気がしていたんだ。
憂樹と付き合う可能性が。

だが・・・、それをどうにかするには何をしたら良いのか。

それが分からなかったんだ。

俺が、憂樹と秋山の問題を解決出来れば・・・もしかしたら。
しかしこのままでは憂樹は一人で秋山と勝負してしまうし
憂樹が勝てば、それで決着がついてしまう。

そうなったら、もう俺の出る幕は無い。
もはや俺は蚊帳の外。過去の人間になってしまうだろう。
また憂樹に会えたとしても、もう相手にされない事は明白だ。

まあ・・・、当事者でもない俺が憂樹と秋山の問題に首を突っ込むのも
筋違いでしかないだろうし、解決出来るのかどうかが怪しい。
事情を中途半端にしか分かってない人間に、何が分かるって言うのか・・・。

でも・・・。
俺は諦め切れなかった。

何かある筈なんだ。何かが出来る筈なんだ。

理由は無いけど、何故かそう思ってしまう。
その『何か』が本当にあるのか分からないけど・・・
俺はその答えを探して困惑していたんだ。

どうしよう・・・。

俺は一体どうすれば・・・。



チャララチャララララ♪



ん?電話だ。憂樹か!?

・・・違った。非通知の番号だ。

非通知ってあんまり取りたくないけど・・・
まあ、良いか・・・。

「もしもし」
「あ、もしもし。こんにちは。橘川です」
「・・・え!?」

橘川さんだ・・・。どうして俺に・・・?

「あ・・・、すいません。こんにちは・・・」

驚いて、何か変な挨拶になってしまった。

「昨日はどうも」
「あ、いえ。こちらこそ。ところで僕に何か?」
「憂樹の事なんですけど」
「・・・はい」
「まさとさん・・・。まだ憂樹を諦めてないですか?」
「え!?」



橘川さんのこの電話が・・・。

俺の一縷の望みの手助けになってくれるとは・・・。



第二百四話につづく



     

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