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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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話は、数時間前に遡る

「・・・ただいま」
「遅かったわね雅博。6時からなんだから早くしなさいよ」
「へ?6時?」
「忘れたの?憂樹ちゃんを迎えに行くって言っておいたでしょ」
「・・・忘れてた」

そうか。フラれたショックで頭が真っ白になってた。
従兄妹がウチに下宿する事になったんで迎えに行く事になったんだっけ。

名前は、柴原憂樹。

つっても最後に会ったのがいつだったのかすら覚えてない。
もう何年前だ。ガキの頃だったような気がするけど。
顔もどんなだったか・・・。まあ良いか。そりゃ向こうも同じだろ。

と言う訳で、慌てて支度を済ませる。
さすがに勝負服で行くのもどうかと思う。



母さんと駅で待つ。
出口はここだけだから来ればすぐに分かるだろう。

「母さんは向こうの顔知ってるんだよね?」
「向こうなんて言っちゃ失礼じゃない」
「だって俺、顔覚えてないし何年も会ってないし。
 ほとんど他人に会う気分だからさ」
「まあ実感が湧かないのも当然よね」
「そうそう。で、顔は?」
「ああ、私は分かってるわよ。この前会って来たんだから当たり前じゃない」
「・・・そう言えばそうだったね」

ヤバイ。今回の下宿の件で会って来たってとっくに聞いたじゃないか。
そんな事すら忘れてるのか。フラれて相当ショック受けてるな。

「あ、メール入ったわ。今、駅に着いたって」
「駅に着いた!?ここの?」

確かに下り電車が着いた時間だ。
でも何で到着と同時にメールが書けるし出せるんだ!?

そんな事を考えてたら一人の女の子がこっちに来た。

「こんばんわ、憂樹ちゃん」
「こんばんわ。おばさん」

コイツが・・・。

柴原・・・、憂樹・・・。

「柴原憂樹です」
「工藤・・・、雅博です・・・」

ヤバイ、ちょっとどもった。

「やあねえ、雅博。緊張してる?」
「・・・ちょっと」

ちょっとどころじゃない。俺は元々、小心者だから人見知りするんだ。
見知らぬ他人と会う方がいくらかマシのような気がする。

「久し振り。って、覚えてないか」
「いや、まあ・・・。ゴメン」

・・・何を話せば良いのか分からねえ。

「じゃあどこかで御飯でも食べましょうか」
「はい、ありがとうございます」

こうして俺達は、近くのファミレスに入った。
母さんと憂樹が二人で座り、俺は一人で座る。
俺は食事中、何を話せば良いのか分からなくてずっと黙ってた。

二人は色々と話しているが・・・、輪に入れない。

「ちょっとトイレに行って来るわね」

母さんが席を外す。
・・・ってオイ!二人にするな!気まずいだろ!!

そんな心の叫びも虚しく、母さんは行ってしまう。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

憂樹は黙々と食事をしている。
やっぱり気まずいのかな。

「・・・・・・・」

ダメだ。耐え切れない。
何か話さないと。

「ゆ・・・」「あのさ」

名前を呼ぼうとした瞬間、先を越された。

「え、あ・・・何?憂樹・・・ちゃん」
「憂樹で良いよ。私の方が年下なんだし」
「え?そうだっけ?」
「雅博君、21でしょ?私は19なんだから」
「そうだったっけか。じゃあ・・・何かな、憂樹」
「私に何か聞きたい事とかある?」
「聞きたい事?」
「下宿とは言えこれから一緒に暮らすんだから、他人行儀じゃ嫌でしょ。
 それなら早い内に色々と分かり合った方が良いじゃない」
「それもそうだ」

・・・何か俺より大人の考え方だな。

「あ、それなら俺も君付けで呼ばなくても良いよ。
 二つしか違わないなら気にしないし」
「じゃあ何て呼ぶ?雅博で良いの?」
「『まさと』が良いかな」
「まさと?」
「雅博を略して、まさと」
「略してないよ」
「う・・・」

良いツッコミだ。容赦が無いぜ。

「で、何か聞きたい事とかは?まさと」
「えーと・・・」

そう言われてもなあ。何話せば良いのか迷ってたくらいだし。

「あ!」
「どしたの?」
「くだらない事で申し訳無いんだけどさ。さっき気になった事があったんだ」
「はいはい」
「駅に着いた時、母さんにメール送ったでしょ?」
「送ったよ」
「あれ、どうやったの?何で到着と同時にあんなメールが出せたの?」
「・・・!」

あれ?憂樹がちょっと真面目な顔になったような・・・。

「何でそんな事聞きたいの?」
「だっておかしいじゃん。電車が駅に着いた時に『着いた』ってメール書いたら
 どうしても到着時間ピッタリに届けるの無理だよ。
 書いてる間に時間が経つから」
「へー・・・」
「?」

あれ?俺、何か変な事でも聞いたか?

「面白いね、まさとって」
「面白い?」
「私、これを何度もやってるんだけどそこに気付いたのはまさとが初めてだよ」
「あ、そうなんだ・・・」
「じゃあ正解を教えてあげる。別に大した事じゃないけどね。
 あれは、駅に着く前に『今、駅に着きました』ってメールを書いておくの。
 後は送信を押すだけの状態にしておいて・・・。到着したら送信と」
「はー・・・」

そんなやり方してたのか。思わず声が出ちまった。
また凝ったやり方だなあ。

「そんなトリックが・・・」
「トリックなんて大それたもんじゃないよ。こんなの誰でも思いつくでしょ」
「いや、俺はそんなの思いつかないよ」
「それは遊び心が足りないから」
「遊び心?」
「何気ない事でも、ちょっと手を加えれば面白くなったりするでしょ。
 普通の事を普通にやってたってつまんないじゃん。
 それじゃ退屈な人間になるよ」



コイツ・・・!!



アイツと・・・同じ事を・・・。



つづく(第三話へ)



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