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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「憂樹ちゃん、荷物は明日来るのよね?」
「ハイ、午後には着くと思います」
「じゃあ今日は、何も無い部屋だけど我慢してね。ここが憂樹ちゃんの部屋よ」
「ありがとうございます。良い部屋ですね」
「ふふ、ありがと。昨日頑張って掃除したのよ」
「あ、そうなんですか?嬉しいです」

・・・結局、憂樹とはあのまま何も話さないで家に着いてしまった。
気にするなとは言われたけど・・・、やっぱり気にするよな。
ある意味では初対面の場であんな無様なとこ見せちゃったら・・・。

と言うより・・・。

俺、フラれたんだった・・・。

憂樹を迎えに行く事で無理やり気持ちを切り替えたけど
今になって、その悲しさがこみ上げて来る。
さっき泣いたばっかりなのに、また泣きたくなって来た・・・。

亜矢子・・・。

俺は、思わず壁を殴った。

自分の手が痛くなる。でもこんなもんじゃ足りなかった。
何発も何発も殴り、手の皮が剥けて血が出てきた。

それでも・・・、足りなかった。

どうしようもない虚しさが襲って来る。
どうすれば良い。どうすればこの辛さは治まる。

だんだん、いろんな感情が出てきた。

自分に対する無力感、怒り、悔しさ、悲しさ、虚しさ・・・。

ちくしょう・・・。



コンコン。

ドアがノックされた。

「まさと?私だけど」
「ゆ・・・、憂樹?」

どうかしたのか。挨拶とかはとっくに済んでるのに。
それともさっきの事でまだ何か話す気なのか。

いや、気にしてないって言ってたし・・・。

「まーさとー」

急き立てるようにノックをする。慣れてるなコイツ。

「はいはい、お待たせ」
「まさと、パソコン持ってる?」
「え、あるけど」
「ネットは?」
「もちろん」
「あ、じゃあちょっと貸して。メールチェックしたいんだ」
「良いけど・・・」

俺はパソコンを起動させる。
そう言えば他人に使わせるのは初めてだ。

「あ、メールチェックって俺ので出来るの?」
「フリーメールだから」
「なるほど」
「ホントは今日じゃないんだけど、急に送れるかもって言って来るからさ・・・。
 もし来てたらパソコンじゃないと見れないんだよね」
「何の話?」
「企業秘密」
「・・・へえ」

企業秘密て。

「ちょっとこっち見ないでね」
「はい」

何だ、このやりとりは。
そう思いつつ、後ろを向く。

「あ、やっぱ来てるなあ。ったく、気まぐれなんだから」

チラっと憂樹の方を見ると、慣れた手つきでキーボードを叩いている。
見事なブラインドタッチだ。しかも速い。
カチャカチャという音が気持ち良く聞こえる。

何をしてるんだ?
・・・まあ他人のプライベートに干渉するのもどうかと思うしな。

カチャ、チャ!!

勢いよくキーを叩いたらしく、今までとは違う音が聞こえた。

「オッケー!こんなもんかな」

憂樹は椅子から立ち上がった。

「あ、パソコンどうする?つけとく?」
「ああ、そのままで良いよ」
「分かった。じゃあちょっと待ってね」

立ったままパソコンに向かい、また何かしてる。

「ありがと。助かったよ」
「いや、別に」
「じゃあおやすみ」
「・・・おやすみ」

憂樹はそのまま出て行ってしまった。
本当にメールを見るだけに来たのか。

・・・ちょっと前まで落ち込んでたんだけどな。
少しだけ気が晴れたかも知れない。
一人でグジグジしちゃ駄目なんだよな、やっぱり。

・・・そう言えば。

憂樹は何を見てたんだ?

・・・ヤバイ、人として最低な事をしようとしてる。
他人のプライバシーに踏み込むなんて男のクズじゃないか。

でも・・・。

誘惑に勝てない・・・。

履歴のボタンを押してみる。
もしかしたらログイン状態のままかも知れない。

・・・アレ?

「履歴が・・・無い・・・」

履歴が出てこない。つまりクリアしてあるって事だ。

どうなってるんだ?俺は履歴クリアなんかほとんどしないし
今日だってしてないぞ?



・・・!!!



『分かった。じゃあちょっと待ってね』



終わった後、憂樹がまたパソコンに向かったのを思い出した。
あの時だ!憂樹はあの時に履歴を消したんだ。

何の為に・・・?俺に見られるのを警戒してか、やっぱり。

いや、憂樹は俺を信用しないとかそういう人間じゃないように思う。
さっき泣き出した俺を気遣ってくれたあの優しさがそう感じさせる。

「・・・聞いてみるか」

でも、おやすみって言ってたな。もう寝る気なのか。
確かに長い時間電車に乗って来たんだし疲れてるかも・・・。

でも・・・。

俺は憂樹の部屋に向かった。
と言っても隣なんだからすぐだ。

「憂樹、起きてる?」

憂樹の部屋のドアをノックする。

ドアはすぐに開いた。

「何?」

眠そうな顔をしてる。

やっぱり今はまずかったかな。

「・・・ゴメン、寝てた?」
「ちょうど今、寝ようと思ったとこ。でも大丈夫だよ。入る?」
「うん、じゃあ」

憂樹の部屋に入った。

そう言えば部屋の案内とかは母さんに任せてたから
どうなってるのか知らなかった。

まあ荷物はまだらしいから何も無いけど。

「悪いね、疲れてるのに」
「さっきから謝ってばっかだね」

憂樹がクスリと笑う。
言われてみれば確かに謝り続けてるなあ。

「で、どうかしたの?」
「あ、そうそう。さっき俺のパソコン使った時に・・・」

・・・しまった。俺は大事な事を忘れてた。

何で履歴を消したの?なんて聞いてどうするんだ。
そんな事聞いたら不審に思われるに決まってるじゃないか。
もっと無難な質問を用意しておくべきだった・・・。

「パソコンを使った時に?」
「えーっと・・・」

まずい、何て言えば良いんだ。

考えろ、考えろ、考えろ。

「・・・履歴が消えてた、って言いたいんでしょ?」
「!!」

・・・何で分かったんだ。

ビックリし過ぎて言葉が出て来ない。

「まあ、まさとなら気付くんじゃないかなって思ってたけど。期待通りだね」
「期待通り・・・?」
「さっき、メールの仕掛けに気付いたでしょ?」
「ああ、あの到着と同時のやつ?」
「そう。さっきも言ったけど、あれに気付いたのはまさとが初めてなんだよね。
 だから今回も気付くかな、って思ったの」

いや、今回のは気付いたと言うか偶然分かっただけなんだけど。

しかもかなり不純な動機で。

「でも、よく気付いたね。履歴チェックでもしたの?」
「あ、いや・・・。実は昨日偶然見つけたサイトをまた見ようと思ったんだよ。
 それで履歴を開いたら消えてたからさ。
 じゃあ憂樹が消した以外無いって思っただけなんだ、実は」

・・・良かった。割と自然な言い訳が出て来た。

「そうなんだ。ごめんね、消しちゃって」
「いや、それは良いんだけど・・・。
 俺が聞きたいのは、何で消したのかって事だよ。
 もしかして俺を試す為?」
「残念だけど違います」

違うんかい。

「別に特別な理由がある訳じゃないよ。
 私は、ネットとかメールを使った後は必ず履歴を消してるの。
 その習慣で消しただけ」
「必ず?毎回?」
「毎回」
「・・・何の為に?」
「証拠隠滅に決まってるじゃん」
「証拠・・・隠滅・・・?」
「ちょっと大袈裟な言い方だけどね。
 ただもし万が一、自分のパソコンを他人に見られたとしたらどうする?
 普段どんなサイトとか見てるのか、とか分かっちゃうんだよ」

・・・ちょっと耳が痛い。

「まあ私はパソコンにかなり複雑なパスをかけてあるし
 盗み見なんて難しいけどね。念には念を入れて」
「パスまでかけてるんだ・・・」

俺はかけてない。
憂樹は・・・、どこまで用心深いんだ。

「分かる?まさと。
 こういう普段の習慣が癖みたいになってるから、ついやっちゃうんだよね。
 逆にそれくらいの方が良いと思うけど。抜かりが無くなって」

そういうもんなのか。凄い生き方してるなあ。



ドクン!



・・・あれ?



ドクン!



何か・・・心臓が高鳴ってるような・・・。



ドクン!



これは・・・。何だろう。

俺は・・・興奮してるのか・・・?



つづく(第五話へ)




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