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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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さて、今日もバイトが終わった。

藤井さんとは同じ時間にあがるので、最近一緒に帰っている。
話してると感じの良い子だとつくづく思う。

「そう言えば工藤さん。もう私に敬語使わないで良いですよ」
「え?そうですか?」
「だって5歳も年下なんですから」
「はは・・・、まあそうですね」

俺は彼女を作った事が無いだけあって女の子と親しくなるのに毎回手こずる。
敬語を使わないようになるのは、毎回相手が言ってくれてから、だ。
最初の壁を破るのにも苦労するって言うか・・・。

「じゃあ、これからは敬語無しで」
「どうぞどうぞ」
「・・・あれ?藤井さん、指輪してるんだね?」

早くタメ口に慣れる為に、他愛も無い話をしてみた。

「ええ、そうですよ。仕事中は外してますけど」
「偉いね・・・、って当たり前か」

左手の薬指にしてる。って事は・・・。
どう言う事なのか簡単に推測出来るな。

「これ、彼氏に貰ったんですよ」
「・・・ほう?」

ああ、やっぱりな。彼氏がいるのか。

そうだとは思ったけど、藤井さんから言って来るとは思わなかった。
割とオープンな性格してるんだな・・・。

「ほら見て下さい。イニシャルが書いてあるんですよ」
「どれどれ?」

ホントだ。『K・F』って刻んである。『Keiko Fujii』か。
洒落た事をする彼氏だな。

「いつから付き合ってるの?」
「中3の時からです」
「・・・早いね」

俺が中学生の時は、恥ずかしくって告白も出来なかったけどな。
最近の若いヤツらは・・・って、何を年寄り臭い事を言ってるんだ俺。
俺が小心者なだけじゃないか。

「工藤さん、彼女さんは?」
「あいにく女の子にはモテないのよ。あはは」
「へー、意外ですね。いるんだと思ってました」
「そう?そんな風に見えるってのは嬉しいね」
「じゃあ好きな人は?」
「・・・いない」
「あー!いるんだ!」
「え!?」
「だって顔真っ赤ですよ。カーワイーイ!!」
「ぶっ!!」

そうなのか。顔に出てるのか。
そう言えば何か顔が熱いな。自分で分かるくらいて事はモロに出てるんだろうな。

「ま、頑張って下さいね。応援してますよ」
「・・・ありがとう」

・・・何で5歳も年下の女の子に応援されてるんだ俺。
嬉しいけど何か情けないな。

「じゃあ、お疲れさまでした!!」
「また明日ねー」

さて、やっと憂樹に会える。

藤井さんと話してるのも楽しいんだけど
やっぱり今の俺には・・・、一番は憂樹なんだよな。



「憂樹?」

家に帰った俺は、憂樹の部屋に来た。
まあ特に用がある訳じゃないけど世間話でもしようかな・・・。

「何?」
「うお・・・」

急に憂樹がドアを開けたので驚いてしまった。
いつもなら「開いてるよ」と言って、パソコンに向かってるんだけどな。

「どうかしたの?」
「いや、何か話でもしようかなって・・・」
「今、忙しいの。また今度ね」

バタン

・・・閉められた。

何だか、冷たくあしらわれたと言う感じだ。

そりゃ憂樹にも憂樹の都合があるんだし
忙しくって話が出来ないってのは何の問題も無いんだけど・・・。

何で今日はこんなに冷たいんだろう・・・。

何だか、凄く切ない。
好きな人に冷たくされるのはかなりこたえる。



とりあえず、俺は部屋に戻った。

どうしたのかな、憂樹。何だかいつもと違う・・・。

この前は本音のような部分を出してくれたと言う意味で違ってたけど
今日は別の意味で『いつもと違う』感じだ。

俺が何か悪い事をして怒ってる・・・とかじゃないよな。
別に変な事とかしてないんだから。

何か失敗して機嫌が悪いとかか・・・、後輩が失敗して尻ぬぐいをさせられたとかか・・・
あるいは秋山がまた何かして来たか・・・。

何にせよ、それなら俺に話してくれても良いんだけどな。
俺じゃ力になれないから話さない・・・んだろうな、やっぱり。



俺は、台所に行ってお茶を飲んだ。
一人で飲むのって何か寂しいな・・・。

「あら、まさと」
「え?」

憂樹だ・・・。

「忙しいのって仕事?」
「まあね」
「もう終わったの?」
「ただの休憩だよ」
「・・・・・・」

何か・・・、会話のキャッチボールが上手くいってない。
憂樹はただ答えてるってだけで、話の膨らましようも無い・・・。

「憂樹、それって俺にも話せない事なの?」
「仕事の事だからね」
「何か嫌な事とかあったんなら、俺に話しても・・・」
「そんなんじゃないの!放っといて!!」

・・・・・・。



憂樹は怒って行ってしまった。

俺、何か怒らせるような悪い事とか言ったのかな・・・?

好きな人を怒らせちゃうって・・・
こんなに悲しい事だったのか・・・。

しかも理由が分からないから相当こたえるな・・・。

憂樹が勝手に不機嫌になってる、と言えば俺は悪く無い事にはなるが
そうだと言う証拠とかが無いし・・・
そもそも、俺が憂樹を怒らせちゃったのは事実なんだ。

怒らせず、気遣う事も出来たかも知れないのに・・・。
それが出来なかったのは・・・、俺が無力だから、か。



俺は自分の無力さが悲しくって・・・
その夜は泣かずにはいられなかった・・・。



つづく



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