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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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憂樹に・・・、謝らないといけないな。

秋山の言う通りであるのは事実なんだから。



「憂樹。ちょっと話があるんだけど」
「開いてるよー」

・・・パジャマ姿だ。

いざ話をしようと動き出すまでちょっと勇気が必要だったので
時間が遅くなってしまったのだが・・・。

憂樹を好きになってるせいかな。
パジャマ姿はあんまり見ないしドキッとする。何か可愛く見えるし。

「何、話って?」
「大事な話なんだよね」
「ふーん?」

憂樹がちょっと真面目な顔になった。
俺がこんな事を言い出すのはただならぬ事だと今までの事から分かってるんだろう。

「実は・・・、憂樹に謝らなきゃいけないんだ」
「何で?」
「正直に言うよ。昨日、今日と秋山に会って来た」
「・・・!!」

予想通り顔が厳しくなったけど
同時に驚きも入ってるような感じの表情だ。

「・・・どう言う事?何でまさとが馨に会えるの?」
「昨日、秋山が東秀大学に来たんだよ」
「え!?どうして!?」
「秋山の言い分としては、俺が東秀に入って行く所を見掛けて
 いろんな人に聞いて俺の名前を知って・・・俺に接触して来たらしいんだ」
「理由は?そこまでして何でまさとに接触したの?」
「それは・・・」

言うしかないんだよな。

「『憂樹さんの過去について話しませんか?』って言って来たんだよ」
「・・・!!!」

今度はさっき以上に驚いた顔になった・・・。

「馨が・・・、そう言ったの?」
「うん」
「・・・あれ?ちょっと待って」
「え?」
「昨日、今日と馨に会ったって言ったよね?」
「そうだよ」
「昨日、話した時・・・、既に馨に会ってたって事?」
「・・・・・・」

やっぱり気付いたか・・・。
まあ仕方無い事だ。言い訳なんかしないで正直に話すしか無い。

「・・・そう」
「じゃあチェスに集中してなかったのは、心配とかじゃなくって
 そっちの方が理由だったの?」
「そこは・・・、今更こんな事を言っても信用して貰えないかも知れないけど
 別に嘘をついてた訳じゃないんだよ。憂樹の事が心配なのは事実だし」
「それなら何で昨日の時点で馨に会った事を話さなかったの?」

・・・ちょっと憂樹が怖くなって来た。
でも自業自得なんだ。ちゃんと話さないといけない。

「俺が謝るって言ってるのは・・・、そこなんだよね」
「え?」
「秋山にそう言う話を持ち掛けられて・・・、憂樹の過去を知りたいって思った。
 これは言い訳なんかしない。確かにそう思ったよ。
 でも他人から聞くのもどうかとも思ったし、その辺りで揺れてた。
 だから言い出せなかったって言うのがあるんだよ」
「で、何を謝りたいの?」
「秋山の言葉に流されて、昨日も今日もアイツと会って話した事。
 その事を憂樹に黙ってた事。そう言う事をだよ。
 ホントに・・・、ゴメン」
「・・・・・・」

憂樹は黙ってしまった。

「憂樹が心配だって話したのは、あれは全部本心だよ。
 実際ああやって思ってたし、今でも思ってる。
 ただ秋山に会った事を隠してたってだけなんだ。
 ・・・まあ、その『だけ』に問題があるんだけど」

憂樹は、何か考えてるような表情になった。

「・・・ねえ」
「はい」
「馨は、私の過去を話してあげようかって言って来たんでしょ?」
「うん」
「結局まさとは、それを聞いたの?」
「昨日会った時は保留みたいな形になったんだけど今日会った時にしっかり断って来た」
「断った?聞かなかったって事?」
「もちろん」
「何で?知りたかったんじゃないの?」
「確かに知りたいって言うのはあったし、秋山にもそこを指摘されたよ。
 関わった以上は自分の気持ちに正直になるべき、とも言われた」
「そんな事言ったんだ・・・。相変わらずいやらしいわねアイツ・・・」
「ただそれは『正確に言えばそう言うモノもある』ってだけの話なんだよ。
 知りたい云々以上に、聞くなら憂樹から話して欲しいって思ったんだ」
「私から?」
「昨日言っただろ?『まだ勘弁して欲しい』『事実を受け止め切れないと思う』って」
「うん、言ったよ」
「それなら俺は、まだ聞く資格が無いって思ったんだ。
 憂樹は『資格とかじゃない』って言ったけど・・・
 まあ俺の中ではそう言う事にしとこうと思ってさ」
「だから断ったと」
「そう」
「馨はそれを聞いて何て言ったの?」
「今時そんな綺麗事を言えるなんて珍しいですねって」
「・・・・・・」
「あと、綺麗事を言うなら自分の問題に気付くべきだって。
 何だかんだで秋山と関わったのは事実なんだし
 憂樹の過去を詮索しようと流されかけたのも
 会った事を内緒にしてた事も事実であり問題だから」
「・・・まあ、正論よね」
「それを指摘されたせいもあって・・・、憂樹に謝ろうって決めたんだよ」
「なるほどね。大体分かった」
「それでさ・・・」
「ん?」
「俺の事、嫌いになったかな」
「・・・何で?」
「憂樹に対して酷い事をしちゃったって言うか
 信頼出来なくなったって言われてもしょうがない事をしたと思うんだよ。
 だから、俺の事を嫌いになったとしたらそこは仕方無いかなと。
 そもそもこんな事をした時点で憂樹と親しくする資格を失ったような気もするし」
「まさとは・・・自分が許せないから私と縁を切りたいの?」
「え?いや・・・、それは・・・」
「正直に言って。そうしないと話がおかしくなるよ」
「・・・そりゃ正直、縁を切りたくなんか無いさ。
 憂樹が許してくれるって言うならそれはありがたいけど
 許せないって言うなら、それはちゃんと受け入れるって話だよ」
「・・・悔しいけど、馨の言う通りだね」
「え?何が?」
「まさとは、今時珍しいくらいそんな事を言える人間だって事。
 言い方が悪いけど、ちょっとクサいくらいの事を平気で言えるでしょ」
「まあ・・・、俺はそう言う人間だからね」
「じゃあ、私もその事に関して正直に言います」
「はい」

・・・何を言われるんだろう。

「確かに、まさとがやった事って言うのは
 私にしてみれば面白くない事だよね」
「はい・・・」
「ただ、だからって別に怒ったり嫌ったりはしないよ」
「・・・ホント!?」
「あら、嬉しそうな顔だこと」
「え、あ、いや・・・」

しまった、つい顔に出た・・・。

「昨日まさとが話した事は・・・、まあ嘘では無いでしょうね。
 あれだけの事を嘘で言えるほど器用じゃないでしょ。
 嘘を言えない性格だし。今の発言からも分かるように」
「まあ、ね・・・、ははは」
「つまり、心配しくれたからこそ私の過去が気になったんでしょ?
 実際そう言ってたしね」
「そう、だね・・・」
「だったらそれは人として当然の感情なんだし
 馨みたいに言葉巧みに相手を取り込むようなヤツに言われたんだし
 それで流されないって言うのは相当難しいと思うんだ」
「確かに・・・、痛い所を容赦なく突いて来る感じだったね」
「だから、ちょっと傾いた程度だって言うなら、それは気にしないよ。
 大体私は、まさとが気になるように色々と煽るような事をしちゃってるし
 馨が近付いて来たのだって元はと言えば私のせいじゃない。
 言ってみれば、私達のいざこざに巻き込んだようなもんだよ。
 そう言う意味では私こそまさとに謝らなきゃいけないじゃない」
「・・・そうなるのかな」
「だから私は気にしません。
 まさとが気になるって言うのならちゃんと許してあげるし」
「ありがとう。安心したよ」
「私こそ・・・、今言ったけど、まさとを巻き込んじゃってごめんね」
「いや別に。俺も気にしてないよ」
「それに、面白い事が分かったしね」
「面白い事?」
「馨の狙いだよ」
「え、どう言う事?」
「私の過去を、私の周りの人間に言う事で
 みんなの印象を悪いモノに変えて、私の印象を悪化させるってとこよ」
「そうなんだ・・・」
「ま、推測だけどね」

確かにな・・・。
人に話せないくらい最悪な事をやって来たって言ってたし・・・。

「憂樹。一つだけ聞かせて欲しいんだけど・・・」
「どうぞ」
「秋山は・・・憂樹のせいで自分や他のある人を不幸にしたって言ってたんだ」
「・・・!!」
「それは・・・本当なの?
 秋山は『そこを聞いても否定はしない』って言ってたけど」
「・・・まあ、事実だね」
「・・・!」

やっぱり否定はしないか・・・。

「ただね、私とアイツとで考え方とか受け止め方の違いが出て来たからそうなっただけで
 馨はちょっとオーバーに言い過ぎなんだよね」
「そうなんだ」

・・・秋山もそんな事を言ってたな。
つまりそこは本当だって事か。

「その事に関して私は、馨に申し訳無いとは思ってる。
 罪の十字架って言うのは一生背負わなきゃいけないとも。
 でも、それはそれ、これはこれなんだよね。
 アイツは大事な事が分かってないの。
 その辺りが、こんな面倒な関係になっちゃった理由なんだよね」
「そうなんだ・・・」
「ディズニーランドで馨に会った時に
 『運命の女神様が僕達を巡り会わせてくれた』って言ってたでしょ?」
「ああ・・・、言ってたね」

他人の口からそんな事を聞けるとは思わなくって
実は凄くビックリしたんだよな。

「あれね、あながち嘘でも無いと思うんだ」
「え!?」
「十中八九、馨は私を狙ってディズニーランドに来たんだろうけど
 あんなに上手く事が運ぶって言うのは
 女神が私に嫌がらせして、馨に味方をしたからじゃないかって」
「憂樹・・・」

憂樹からこんな弱気にも似た言葉を聞くのは初めてだ・・・。

「だからまあ・・・、最近はそれほど運が悪くなかったけど
 また運が低下して来たのかなって。そんな風に思っちゃった」

・・・ああ、そうか。

辛い事とかがあったら俺に言って良いって言ったもんな。
だから話してくれてるのか。

でも、本当に話してくれるってのはちょっと驚きだ。
もちろん嬉しいんだけど、こんなに弱々しい所を見せるなんて・・・。

憂樹にとっては相当辛い事なのかな・・・。

「まさと、正直に言ってくれてありがとう」
「え?ああ、いや別に。当然だと思うし」
「馨に言われたから、って訳じゃないんでしょ?」
「まあね。結果的に指摘されたから気になった、ってのはあるけど
 言われてなくても、謝ったと思う」
「別に隠す事だって出来たのに」
「それは・・・、憂樹には後ろめたい事とかしたくないから」

ましてや、好きな人に対してそんな事は絶対したくない・・・。

「嬉しいな。そうやって言ってくれるのって」
「・・・・・・」



何だろう。憂樹がいつもと違う。憂樹ってこんな感じだったっけ?
いつもより素直って言うか・・・、本心を出してるって言うか・・・。

また夢・・・の筈は無い。これは現実だ。

って事は、俺に少し心を開いてくれてるって事なのかな?



ちょっと・・・、ドキドキするじゃないか・・・。



つづく



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