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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「まず・・・、僕が憂樹さんの過去を知ってる事は事実だと
 信用して貰えましたか?」
「ええ。今の話を聞いて信用しました」
「そうですか」

悔しいけど、ここは認めざるを得ない。
現実を受け入れないと何も前に進まないんだし。

「それで理由ですが・・・
 いわゆる、僕なりのおせっかいと言う所ですね」
「おせっかい?」
「工藤さんは、憂樹さんの事をどれくらい知ってますか?」
「どれくらいと言われても・・・」
「では質問を変えましょう。
 憂樹さんの過去について、どれくらい聞きましたか?」
「・・・ほとんど聞いてないですけど」
「気にならないですか?どうしてあそこまで推理力があるのか、とか」
「そりゃ気にはなりますけどね」
「だから、僕が教えてあげようと思った。そう言う事ですよ」
「・・・失礼ですけど、本当におせっかいですね」
「ええ」
「別に俺は、憂樹が過去を話したがらないのであれば
 無理に聞く気は無いですし、他の人から聞きたいとも思いませんよ」
「あれ?じゃあ、聞く気は無いって事ですか?」
「そうですね。何か特別な理由があるのかな、と思ってましたが
 そんなおせっかいで聞く気はありません」
「ところが」
「?」
「このおせっかいには、まだ続きがあるんですよ」
「続き?何ですか?」
「どうして憂樹さんは・・・過去を話したがらないと思います?」
「・・・さあ?」
「話せないからですよ」
「話せない?」
「そうです。
 人に話せない程、最悪な事をやって来たからです」
「・・・!」

話せない程、最悪な事・・・?

「何ですか、それ・・?」
「これ以上は秘密です。
 工藤さんが聞く気になればお話しますよ」
「・・・・・・」

やっぱりな・・・。
そんな気はしてたけど、好奇心を煽るような話術だ。

こんな言い方をされれば気にならない人間はまずいない。
続きが聞きたければもう少し踏み込んで来い、って事だろう。

踏み込んでしまえば、ますます深みにハマッてしまい
気付けば完全に秋山の手の平で踊らされている、なんてなりかねない。

「・・・ちょっと待って下さい。
 それとおせっかいの続きと何の関係があるんですか?」
「工藤さんの為と言う事ですよ。
 そんな人間と関わっていると、工藤さんまで不幸になりかねません。
 だからどんな人間なのか。本性を教えてあげようと」
「それを、何故知り合いでも無い俺に?
 こないだディズニーランドで会っただけじゃないですか」
「僕は・・・これ以上、犠牲者を増やしたくないんです」
「犠牲者!?」
「ハッキリ言います。
 僕は、憂樹さんと関わる人間は不幸になると思ってるんです」
「・・・随分な言い方ですね」
「だって、実際に被害に遭ってますから」
「え!?」
「僕と・・・、僕以外のある人が憂樹さんのせいで不幸になってます」
「・・・!!!」

何だと・・・!?

憂樹が、秋山とその他のある人を不幸にしてる!?

「本当なんですか・・・?」
「はい。憂樹さんに聞いても構わないですよ。否定はしない筈です」

聞いても構わない、か・・・。
こう言えるって事は嘘では無い。事実だって自信の表れか。

・・・あれ?

「ちょっと待って下さい」
「はい?」
「それなら、どうして憂樹は秋山さんにキツイ態度を取るんですか?
 自分が秋山さん達を不幸にしたって認めているのなら
 そんな態度を取る筈は無いと思うんですけど」
「ちょっとした考えた方の違いがあるからですよ。
 憂樹さんは認めてると言いましたが、実は認めてない部分もあるんです」
「どう言う事ですか?」
「自分の行為自体は認めてますが
 それで被害者がどれだけ酷い目に遭ったか。
 そこに、憂樹さんと僕とで意見の相違が出て来てるんですよ」
「何でそんな事になったんですか?」
「憂樹さんの言い分としては・・・、こっちが被害妄想とかで
 不幸な目に遭ったと言う事を大きくし過ぎてるらしいです。
 僕は被害妄想なんかしてるつもりは無いんですけどね。
 それで、お互いに『そんな事を言われる筋合いは無い』と言う事で
 かなり険悪な関係になってしまった訳です」

・・・何があったのかは分からないけど
かなり話がこじれてるって事だけはハッキリ分かる。

「・・・で、自分がそう言う目に遭っているので
 俺が同じような目に遭わないようにしてくれていると?」
「そうです」
「また、随分と優しいんですね」
「優しいと言うより、ただ憂樹さんのやり方が気に入らないだけですよ。
 また不幸な人を増やし続けるのか、と」

・・・なるほどな。
他人を気遣っていると言うより、憂樹が許せないからやってるって事か。
自分の気持ちに忠実な行動な所が
下手に優しさをアピールするより説得力があるように感じる。

「どうでしょう?僕の言いたい事は分かって頂けましたか?」
「まあ・・・、とりあえずは」
「そうですか。それでどうします?このまま本題に入りますか?」

・・・・・・。

「いえ、やっぱり結構です」
「・・・へえ?何でですか?」
「俺は憂樹を信じてますから、秋山さんの言う事全てが正しいとは思えません。
 むしろ憂樹の言い分の方が正しく、秋山さんが間違ってるんじゃないかと
 そんな風に考えてしまうんですよ」
「つまり、僕の警告は必要無いと?」
「まあ、そう言う事です」

俺は事情を知らないから
秋山の言い分が間違ってると思う事に理由も根拠も無い。

でも、俺は憂樹がどんな人間だか多少だけど知っている。
少なくとも人を不幸にしておいて罪を認めない、なんて事はしない筈だ。

本当はその『不幸にした』って言う所も嘘であって欲しいけど
ここは本当であるような気がする。
秋山は嘘が異常に上手いだけかも知れないけど
とりあえず全部を信用しないのもどうかと思うからそこは信じよう。
「憂樹に聞いても構わない」って言ってるし。

「はは、憂樹さんの事を大分信用してるみたいですね」
「そうですね・・・。かなり信じてます」
「じゃあ・・・、今日の所は話すのは止めにしましょうか」
「今日の所は?」
「ええ、もしかしたら気が変わって聞きたくなるかも知れないので
 その時が来れば話しますよ」
「・・・無いと思いますけどね」
「まあ、そう言わずに。これ、僕の携帯番号とメールアドレスです。
 話がしたくなったらいつでも連絡して下さい。
 非通知でかけたり、捨てアドで送っても構わないですから」
「はあ・・・」
「じゃあ、僕は帰りますね。またどこかで御会いしましょう」
「・・・どうも」
「あ、そうだ。最後に一つ言わせて下さい」
「何ですか?」
「『毒を食らわば皿まで』って諺、御存知ですか?」
「ええ、一応は」
「あれは一度悪に手を染めたのなら、最後まで悪に徹しろって事なんですよ」
「そうですね」
「憂樹さんは、それが出来なかった。言ってみれば半端者です」
「・・・・・・」

憂樹が「私を嫌ってるだろうし、むしろそれ以上」だと言ってたけど
本音を語り出したら言いたい放題言うようになったな・・・。

「工藤さんも・・・、半端者にはならないようにしましょう」
「・・・どう言う意味です?」
「僕に関わった以上は、もう後戻りはしない方が良いって事です。
 憂樹さんにとって僕は立派な『敵』です。
 工藤さんは憂樹さん側の人間ですが、そんな敵に接触した。
 今、こうして話しているように」
「・・・そこは認めなきゃいけませんね」
「ですから、やるならとことん、最後までやり通すべきだって事です。
 これもおせっかいでしょうけど、中途半端で終える人間って言うのは
 例外無く、ロクな人間にはなりませんから」
「秋山さんに過去を聞かなきゃいけないって事ですか?」
「いけないとは言いませんが、こうして話すのは
 少なからず憂樹さんの過去が気になってる証拠じゃないですか」
「・・・!そうですね・・・」
「と言う事は、心のどこかに僕に聞きたいって気持ち、本心があるんです。
 『聞く必要は無い』と100%で思ってる訳じゃないんですから
 こうして関わった以上、本心に逆らうべきでは無い。
 そう言う事です」
「・・・・・・」
「とは言え、すぐに素直になるのも難しいでしょうから
 ゆっくりで良いんですよ。時間がかかっても正直になる事が大事なんです」
「はあ・・・」
「それでは、そう言う事で」



秋山は行ってしまった。

確かにアイツの言う通り、俺は心のどこかで
憂樹の過去を知りたがってるんだろう。

そして今、秋山と話したと言う事実は
それを裏付けるのには十分過ぎる程の証拠だ。

正直になれ、か・・・。

俺はどうするべきなんだろう・・・。



つづく



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