様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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とりあえず俺は・・・、憂樹と話す事にした。
「ねえ、憂樹。チェスやらない?」
「お、珍しいね。良いよん」
チェスをやりながらなら色々と話せる。
未だに勝つ自信は無いけど・・・。
「・・・そう言えばさ」
「ん?」
「こないだの・・・、秋山って奴なんだけど」
「・・・!」
憂樹の表情が一瞬で厳しくなった。
「・・・馨がどうかしたの?」
「いや、あれからどうしたかなって。何か言って来た?」
「幸いにも何もありません」
「そう。良かった・・・のかな?」
「良い事だね」
「そうなんだ・・・」
憂樹が・・・秋山と、その他のある人を不幸にしてる、か。
何があったんだろう・・・。
やっぱり秋山の言う通り、憂樹の過去が気になってるな・・・。
ただ言い訳がましいけどこれは秋山に言われたからであって
元々知りたがってた訳じゃない。
勿論、『全く』なんて奇麗事を言うつもりは無いけど。
「まさとの番だよ」
「ああ、ゴメン」
もう一つ気になる事がある。
秋山は、憂樹と同じ畑の人間だと言っていた。
つまり教わった所が同じだと。
教わった所が同じと言う事は
元々、憂樹と秋山は同じ所に属していたとかだ。
そこで何かがあり、袂を分かつ事になった・・・
とかなんだろうか。
「・・・まさと?」
「え?」
「まさとの番だってば」
「ああ、早いね」
「何かあったの?全然集中してないように見えるけど」
「いや・・・」
今日、秋山に過去を話してあげようかと言われた事・・・。
憂樹に話すべきなのかな・・・。
「変だよ、まさと。何か隠してるでしょ」
「・・・・・・」
俺、隠し事とか苦手だからな・・・。
とりあえず、話を持ちかけられた事は隠して・・・。
「実は・・・」
「はい」
「あの、秋山の事が気になってるんだよ」
「・・・何で?まさとは関係無いでしょ?」
「いや、こないだ随分と険悪な雰囲気だったじゃん」
「・・・まあね」
「しかも憂樹が相当困るだなんて、よっぽど厄介な奴じゃないかって」
「・・・・・・」
「関係無いって言われれば確かにその通りかも知れないけど・・・
やっぱり憂樹の事が心配なんだよね」
「・・・優しいんだね」
「あ、いや・・・。そりゃまあ・・・」
好きな人の事が心配になるのは当然の感情じゃないか・・・
なんて事はまだ言える筈も無く・・・。
「ありがとう。心配してくれるのは嬉しいな」
「いやぁ・・・」
「でも、とりあえず何かして来てる訳じゃないし
して来たらどうにかしてみせるし、心配しなくて大丈夫だよ」
「そっか・・・」
でもな・・・。
秋山は、憂樹じゃなく俺に接触して来てるんだよな・・・。
「何があったのかとかは・・・話せないの?」
「知りたいの?」
「知りたくないって言えば嘘になる・・・かな」
「心配だから?」
「うん」
俺もよくここまでハッキリ言えるな・・・。
結構恥ずかしい事なんじゃないかこれって・・・。
「そりゃ俺に心配されても余計なお世話とかかも知れないけど
俺は憂樹には物凄い世話になってるし、恩を感じてるし
心配にならないってのは無理なんだよ」
「・・・だろうね。まさとってそんな性格だもん」
「はは・・・」
そう言われるのはちょっと恥ずかしい・・・。
「話すのは・・・、まだちょっと勘弁して欲しいな」
「まだ?」
「まさとがもう少し強くなったら話してあげる」
「それは・・・、今の俺には聞く資格が無いって事ですか」
「資格とかじゃないんだけどね。
何て言うのかな・・・、事実を受け止めきれないと思うの」
「・・・どう言う意味?」
「色々です」
「そっか・・・。じゃあこれ以上は聞かないよ」
「ごめんね」
憂樹が秋山や他の人を不幸にしているとして・・・。
その解釈の仕方とかで憂樹を今まで通りに見られるか
秋山のように嫌ってしまうのか。
その違いが出て来るって事なのかな。
憂樹の言い分・・・、つまり事実を受け止めきれないと
秋山のようになってしまう・・・。
そう言いたいんだと考えれば一応、筋は通る・・・。
そして今の俺にはそれをきちんと判断するだけの強さは無い・・・。
そう言う事か・・・。
「まさと」
「はい」
「まさとってさ、前に『自分は運命の女神に嫌われてる』って
言ってた事があったでしょ?」
「ああ・・・、あったね」
「その言葉を借りるなら・・・、私も女神に嫌われてるよ」
「え!?」
「私だって、今はそれなりに普通に生きてるけど
ここに来るまでに色々あったんだよ。
と言うより、イバラの道ばっかりだったね。馨の件も含めて。
泣いた事なんて、数え切れない程あったよ。
もう一生分は泣いたんじゃないかってくらい」
「そうなんだ・・・」
「でも、つまずいても何度も立ち上がって
まさとが言う所の『強くなって』、今に至る訳よ。
逆に言えば、そう言う人生だったからこんな風になれたんだよ」
「・・・・・・」
そうだよな・・・。
憂樹だってそれなりに辛い人生を送って来てるんだ。
それを乗り越えたからこそ、あれだけの事が言えるんだ。
ただ推理力とか洞察力を磨いたり、知識を増やすだけで
あんなに重みのある言葉が言えるとは限らない。
「・・・憂樹」
「ん?」
「頼りないかも知れないけど・・・
もし辛い事とかあったら、俺に言って構わないよ。
話を聞くくらいは出来るから」
「・・・どうしたの急に?」
「いや・・・、憂樹が困ってるとことか初めて見るからさ。
力になってあげたいけど、これくらいしか出来ないし。
俺も今までにいろんな事があって憂樹に話を聞いて貰ってるし
その恩返し、って事で」
「・・・ありがとう。じゃあその時はそうさせて貰うね」
「うん、遠慮しないで良いから」
そして俺は・・・、秋山に連絡を取った。
普通にやるとアイツに俺の連絡先を知られるし
捨てアドでメールを送った。それで良いって言ってたし。
明日・・・、秋山とまた大学で会う事になった。
憂樹の過去について話す為にだ。
もう答えは出た。いや、最初から分かってた筈なんだ。
ただ色々あって迷いが生まれてしまっていた。
秋山の言う通り正直になったからこそ・・・
見えなくなっていたこの答えが見えた。
そう言う事なんだと思う。
つづく
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「ねえ、憂樹。チェスやらない?」
「お、珍しいね。良いよん」
チェスをやりながらなら色々と話せる。
未だに勝つ自信は無いけど・・・。
「・・・そう言えばさ」
「ん?」
「こないだの・・・、秋山って奴なんだけど」
「・・・!」
憂樹の表情が一瞬で厳しくなった。
「・・・馨がどうかしたの?」
「いや、あれからどうしたかなって。何か言って来た?」
「幸いにも何もありません」
「そう。良かった・・・のかな?」
「良い事だね」
「そうなんだ・・・」
憂樹が・・・秋山と、その他のある人を不幸にしてる、か。
何があったんだろう・・・。
やっぱり秋山の言う通り、憂樹の過去が気になってるな・・・。
ただ言い訳がましいけどこれは秋山に言われたからであって
元々知りたがってた訳じゃない。
勿論、『全く』なんて奇麗事を言うつもりは無いけど。
「まさとの番だよ」
「ああ、ゴメン」
もう一つ気になる事がある。
秋山は、憂樹と同じ畑の人間だと言っていた。
つまり教わった所が同じだと。
教わった所が同じと言う事は
元々、憂樹と秋山は同じ所に属していたとかだ。
そこで何かがあり、袂を分かつ事になった・・・
とかなんだろうか。
「・・・まさと?」
「え?」
「まさとの番だってば」
「ああ、早いね」
「何かあったの?全然集中してないように見えるけど」
「いや・・・」
今日、秋山に過去を話してあげようかと言われた事・・・。
憂樹に話すべきなのかな・・・。
「変だよ、まさと。何か隠してるでしょ」
「・・・・・・」
俺、隠し事とか苦手だからな・・・。
とりあえず、話を持ちかけられた事は隠して・・・。
「実は・・・」
「はい」
「あの、秋山の事が気になってるんだよ」
「・・・何で?まさとは関係無いでしょ?」
「いや、こないだ随分と険悪な雰囲気だったじゃん」
「・・・まあね」
「しかも憂樹が相当困るだなんて、よっぽど厄介な奴じゃないかって」
「・・・・・・」
「関係無いって言われれば確かにその通りかも知れないけど・・・
やっぱり憂樹の事が心配なんだよね」
「・・・優しいんだね」
「あ、いや・・・。そりゃまあ・・・」
好きな人の事が心配になるのは当然の感情じゃないか・・・
なんて事はまだ言える筈も無く・・・。
「ありがとう。心配してくれるのは嬉しいな」
「いやぁ・・・」
「でも、とりあえず何かして来てる訳じゃないし
して来たらどうにかしてみせるし、心配しなくて大丈夫だよ」
「そっか・・・」
でもな・・・。
秋山は、憂樹じゃなく俺に接触して来てるんだよな・・・。
「何があったのかとかは・・・話せないの?」
「知りたいの?」
「知りたくないって言えば嘘になる・・・かな」
「心配だから?」
「うん」
俺もよくここまでハッキリ言えるな・・・。
結構恥ずかしい事なんじゃないかこれって・・・。
「そりゃ俺に心配されても余計なお世話とかかも知れないけど
俺は憂樹には物凄い世話になってるし、恩を感じてるし
心配にならないってのは無理なんだよ」
「・・・だろうね。まさとってそんな性格だもん」
「はは・・・」
そう言われるのはちょっと恥ずかしい・・・。
「話すのは・・・、まだちょっと勘弁して欲しいな」
「まだ?」
「まさとがもう少し強くなったら話してあげる」
「それは・・・、今の俺には聞く資格が無いって事ですか」
「資格とかじゃないんだけどね。
何て言うのかな・・・、事実を受け止めきれないと思うの」
「・・・どう言う意味?」
「色々です」
「そっか・・・。じゃあこれ以上は聞かないよ」
「ごめんね」
憂樹が秋山や他の人を不幸にしているとして・・・。
その解釈の仕方とかで憂樹を今まで通りに見られるか
秋山のように嫌ってしまうのか。
その違いが出て来るって事なのかな。
憂樹の言い分・・・、つまり事実を受け止めきれないと
秋山のようになってしまう・・・。
そう言いたいんだと考えれば一応、筋は通る・・・。
そして今の俺にはそれをきちんと判断するだけの強さは無い・・・。
そう言う事か・・・。
「まさと」
「はい」
「まさとってさ、前に『自分は運命の女神に嫌われてる』って
言ってた事があったでしょ?」
「ああ・・・、あったね」
「その言葉を借りるなら・・・、私も女神に嫌われてるよ」
「え!?」
「私だって、今はそれなりに普通に生きてるけど
ここに来るまでに色々あったんだよ。
と言うより、イバラの道ばっかりだったね。馨の件も含めて。
泣いた事なんて、数え切れない程あったよ。
もう一生分は泣いたんじゃないかってくらい」
「そうなんだ・・・」
「でも、つまずいても何度も立ち上がって
まさとが言う所の『強くなって』、今に至る訳よ。
逆に言えば、そう言う人生だったからこんな風になれたんだよ」
「・・・・・・」
そうだよな・・・。
憂樹だってそれなりに辛い人生を送って来てるんだ。
それを乗り越えたからこそ、あれだけの事が言えるんだ。
ただ推理力とか洞察力を磨いたり、知識を増やすだけで
あんなに重みのある言葉が言えるとは限らない。
「・・・憂樹」
「ん?」
「頼りないかも知れないけど・・・
もし辛い事とかあったら、俺に言って構わないよ。
話を聞くくらいは出来るから」
「・・・どうしたの急に?」
「いや・・・、憂樹が困ってるとことか初めて見るからさ。
力になってあげたいけど、これくらいしか出来ないし。
俺も今までにいろんな事があって憂樹に話を聞いて貰ってるし
その恩返し、って事で」
「・・・ありがとう。じゃあその時はそうさせて貰うね」
「うん、遠慮しないで良いから」
そして俺は・・・、秋山に連絡を取った。
普通にやるとアイツに俺の連絡先を知られるし
捨てアドでメールを送った。それで良いって言ってたし。
明日・・・、秋山とまた大学で会う事になった。
憂樹の過去について話す為にだ。
もう答えは出た。いや、最初から分かってた筈なんだ。
ただ色々あって迷いが生まれてしまっていた。
秋山の言う通り正直になったからこそ・・・
見えなくなっていたこの答えが見えた。
そう言う事なんだと思う。
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