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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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今日はバイトの日だ。

入ってる日と入っていない日とで交互になってるから分かりやすい。

俺が店に行く頃には、鈴木さんも山口さんも既に仕事をしている。

とは言え、大繁盛している店でもないので
暇を持て余している事が多い。

俺は仕事を覚える為に店内を歩き商品を見て回っているが
二人はレジで待機している。

実に暇そうだ。堂々とおしゃべりまでしてる。

そう言えば、まだあんまり話とかしてないんだよな。

特に山口さんとは挨拶を交わす程度しか無い。
いつも鈴木さんといるから話す機会自体が無いんだ。

「あ、工藤さん。どうですか?覚えました?」
「ええ、まあ一通りは」
「ホントですか!?早いですね!」
「ありがとうございます」

・・・実は、憂樹にコツを教えて貰ったんだ。



「あのさ、憂樹」
「ん?」
「今度、仕事で商品を覚えるんだけど・・・」
「ああ、販売じゃ基本よね」
「早く覚えるコツってないかな?」
「あるよ」
「マジで!?」
「教えて欲しい?」
「是非」
「暗記じゃなくって『理解』すれば良いのよ」
「理解?」
「自分の店には何があるのか、って言うのを理解するの。
 認識って言い方の方がしっくり来るかも。
 この意味、分かる?」
「うん」
「で、どんなのがあるかってのを認識したら
 今度はそれをもっと具体的にイメージするの」
「どんな風に?」
「例えば、あの店って小さい植木鉢が売ってるでしょ?」
「あるね」
「まず、小さい植木鉢があるって事を認識する。
 そうしたら今度はどんな種類があるのか、って認識で。
 植木鉢があるって認識を出来れば、それは結構簡単に出来るよ」
「そんなもんなのかな」
「まあ、お試しあれ」
「それ、どこで教わったの?」
「自分で発見したんだよ」
「え!」
「偶然気付いた、って方が正しいかも知れないけどね」
「凄いね・・・」



このやり方を初日からやっていた。
最初は「何があるのか」と言うのを理解、認識して
今日は、じゃあ具体的にはどんな物なのか。これを認識した。
そうしたら自分でも驚くくらいに覚えていた。理解出来ていたんだ。

暗記法とかは、人によって向き不向きがあり個人差もあるらしいから
憂樹のやり方が誰に対しても有効と言う訳では無いだろうけど
俺には相性が良かったらしい。運が良かった。

「じゃあ、今はお客さんもいないですしこっち来ません?」
「あ、じゃあそうさせて下さい」

レジの所に俺、鈴木さん、山口さんと並んだ。

「あの・・・」
「はい?」

山口さんだ。

「工藤さんって、東秀大学に行ってるんですか?」
「え?ああ、そうですよ」

鈴木さんから聞いたんだな。

「頭良いんですね」
「いやー、ラッキーだったんですよ」
「実は私、受験に失敗したんです」
「・・・そうなんですか」
「それで、親に凄く怒られて受験を諦めて・・・。
 フリーターになったんです」

・・・また、唐突に重い話をして来るなあ。

「だから、工藤さんみたいな人、尊敬しますよ」
「そうですか?嬉しいですね。でも僕なんか全然大した事無いですよ。
 もっと凄い人なんかゴロゴロいますよ」

そう、例えば憂樹とか。

「そう言えば、鈴木さんと山口さんってどう言う関係なんですか?
 ここの先輩後輩ですか?」
「いえ、優希子とは趣味が同じなんでそれで知り合ったんですよ。
 それでどんどん仲良くなって
 住んでる所が近いしここで働こうってなって」
「どんな趣味ですか?」
「どうする優希子?言って良い?」
「・・・秘密です」

言う事まで憂樹に似てるのか。
偶然もここまで来ると何だか面白い。

「って事なんで・・・。すいません言えないです」
「ああ、じゃあ無理には聞かないですよ」
「すいません・・・」
「いえ別に。気にしてませんから」
「華穂ちゃんは言っても良いの?」
「別に構わないけど?」
「・・・じゃあ、その内って事で良いですか?」
「良いですよ。いつでも」

あんまり言いたくない事なのかな。

「あ、そうだ工藤さん」
「何ですか?」
「今日、終わった後に時間取れますか?」
「大丈夫ですけど?」
「一緒にご飯でも食べません?
 歓迎会みたいな事まだやってなかったですし」
「え、ホントですか?行きます行きます」
「じゃあ、決まりですね!優希子も行こうね」
「うん」

山口さんって、おとなしいんだな。
ちょっと話しただけで何となく察しがつく。

・・・ん?そう言えば憂樹もそんな事を言ってたような。

ちょっと憂樹に近づけたのかな。何か嬉しい。

「どうしたんですか?ニコニコして」
「え!?あ、いや何でもないです」
「私達と行けるのが嬉しいんですか?」
「あ、いや、まあ・・・、そうです」

本当は違うけど、そう言っておいた方が良さそうだ。

「あはは、カワイイですね工藤さんって」
「カワイイ・・・、ですか」

そりゃまた複雑極まりない事を言うなあ・・・。

「あ、じゃあ僕は休憩入ります」
「ご飯食べちゃダメですよ?」
「あはは、分かってますよ」

そうだ、家に連絡しておくか。

「・・・あれ、母さんが出ないな」

それなら憂樹に言っておくか。
もう帰ってるだろう。

『もしもし?』
「あ、憂樹?俺だけど」
『どうかしたの?』
「俺さ、今日帰りにご飯食べて行くから帰り遅くなるんだ」
『はいはい』
「だから母さんにも言っといてくれるかな」
『分かりました』
「あ、そういや母さん電話に出ないけど、どうして?」
『さあ?さっき出かけたけど、携帯忘れてたんじゃないの?』
「分かった。じゃあそう言う事で」
『はーい』



あ、憂樹に教えて貰ったコツが役に立った事のお礼を言い忘れたな。

まあ良いか。帰ったら言おう。



つづく



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