忍者ブログ
様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
[39]  [38]  [37]  [36]  [35]  [34]  [33]  [32]  [31]  [30]  [29
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

俺達は、仕事が終わった後に近くのファミレスに行った。

とりあえず色々と頼み、みんなで食べる事になったが
明らかに鈴木さんと山口さんが頼んだ物の方が多い。
気がついたら、二人があれこれ頼んでいたんだ。

結構な種類を頼んでいるので、これ以上俺が何か頼むのは危険だ。
食べ切れなくなるだろうし、そもそも高くなる。
結局俺は二品しか頼んでいない。二人は四品ずつは頼んでいるだろう。
・・・いや別に構わないんだけど。

「それじゃあ、工藤さんの歓迎会を始めます!」
「いやー、どうも」

いつの間にかそれが名目になっていたらしい。
まあ悪い気はしないし、むしろ嬉しいけど。

「もっと高いとこでやった方が良かったんですけどね。
 ちょっとお金無いんですよ。すいません」
「いえいえ、とんでもないです。こうして何かしてくれるだけで嬉しいですよ」
「工藤さんは、どうしてウチに来たんですか?」
「バイトを探してた時、たまたま店に行ったら良さそうだと思ったんです。
 で、そうしたらバイトを募集してたんで応募したらすぐに採用になりまして」
「あー、こないだ辞めちゃった子がいましたから」
「らしいですね。店長さんに聞きました。
 ・・・そう言えば、従業員って他にいないんですか?」
「ああ、いますよ。あと三人」
「会った事も顔を見た事も無いんですけど・・・」
「週3シフトだと、完全に曜日が固定されるってのは聞きました?」
「ええ、最初の時に」
「あともう一つ、週4シフトってのがあるんですけど
 それはウチらが入らない日に固定されてるんですよ」
「完全に区別されてる、って事ですか」
「そうですね。だから滅多な事が無いと、週4シフトの人とは会わないですよ。
 私も数回しか無いですから」
「なるほど、そうなんですか」
「・・・・・・」

・・・山口さんが会話に入って来ない。
一人で相槌を打つか黙って何か食べてるか、しかしていない。

一応、話しかけておくか。

「山口さん」
「あ、はい!」
「優希子も会話に入って来なよ」

鈴木さんが俺の言いたい事を言ってくれた。

「ごめんなさい、ちょっと入れなくて」
「せっかくなんだから、どんどん入って来なくっちゃ」
・・・さっきも思ったけど、おとなしいんだな。

と言うよりは・・・、俺に対して緊張してるような気がする。
男が苦手なのかな。

そう言えば、いつだったか憂樹の後輩の真琴さんが
男性恐怖症だそうで俺に怯えまくってたな。
もしかしたら同じ事が起こってるのかも知れない。

「あ、私ちょっとトイレに行って来ます」

・・・!

「じゃあ俺も行きます」

俺と鈴木さんはトイレに向かった。



用を足した俺は、出口の所で鈴木さんを待ってた。

「あ、工藤さん。待っててくれたんですか?」
「ええ。・・・あの、ちょっと聞きたいんですけど」
「え、何ですか?」
「・・・山口さんって、男が苦手とかじゃないですか?」
「どうして知ってるんですか!?」

やっぱりそうか。

「いや、知ってたとかじゃなくって、そうじゃないかなって思ったんです」
「どこでですか?」
「話してると、何かそんな感じだったんで」
「鋭いですね・・・」

自分でもちょっと驚いた。
ある意味、憂樹の真似事でしか無いけど上手く行くとは。

「もしそうなら、無理に付き合わせるのも悪いと思いまして」
「・・・すいません、なんか気を遣わせちゃって」
「いえ、良いんですよ」

そう言えば俺も人見知りする性格だったんだけどな。
いつの間にこんな事が出来るようになったんだ。

そんな訳で、俺達は戻って来た。

「山口さん」
「はい」
「ちょっと、そこのサラダ取ってもらって良いですか?」
「あ、どうぞ」
「ありがとうございます」

・・・とりあえず、苦手だからってないがしろにするのも申し訳無い。
この程度なら大丈夫だろう。・・・多分。

こう言う場合、憂樹ならどうするんだろうな。
つい憂樹に頼る事を考えてしまうのは情けないけど。

そして俺達は、また色々と話した。
山口さんをないがしろにしないように。

「工藤さん」
「え、はい?」

ビックリした。山口さんから話して来るとは思わなかった。

「これ、よかったら食べませんか?」
「・・・!」
「あ、ありがとうございます」

横で鈴木さんが驚いてる。
当然だろうな。男が苦手の筈の人が、男に話しかけてるんだから。
俺もちょっと驚いた。

店でも話しかけられたけど、あの時は鈴木さんが俺の話を山口さんにしたから
言ってみれば『ネタ』があった訳だ。
今の場合もネタがあったと言えばあったけど、店の時とは意味合いが違う。
ネタを『拾って』来たんだ。そしてそれを俺に振って来たのは俺と話す為って事。
・・・ちょっとは心を開いてくれたのかな。



気がつけば、俺は人を気遣える人間になっていたらしい。

特別、意識とかしなくても等身大でそう出来るようになったのか。

これも、憂樹の教えを守っていたからかな。

・・・周りからどんな風に見えるかは分からないけど。



つづく



↓宜しければ押してやって下さい

     ブログランキング ドット ネット
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけが読む事ができるコメントになります。)
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
       


↓久遠のブログ、始めました
こちらからどうぞ

第一話から

読む方は

こちらから


登場人物紹介

最新CM
[10/01 tlgetplkvg]
[08/19 魚]
[06/28 久遠]
[06/28 魚くん]
[05/31 ブログランキング]
プロフィール
HN:
久遠
性別:
非公開
カウンター
アクセス解析
フリーエリア

Copyright © BE ALIVE! All Rights Reserved.
Material & Template by Inori  

忍者ブログ [PR]