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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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今日は学校に行かないとな。
さすがにちょっとサボり過ぎだ。

昨日、憂樹と話したおかげで大分落ち着いたし
ちょっとだけ元気も出たし・・・。

外に出ないとまた落ち込んで行くような気がするからな。



・・・やっぱり出て来て正解だったな。

太陽の光を浴びて、外の空気を吸うだけで大分違う。

授業も何とか聞けた。
何とか大学生らしい生活に戻れそうだ・・・。



・・・!!

亜矢子だ・・・。

男と二人でいる・・・。新しい彼氏、かな・・・。

胸が重くなった。吐き気がする。

重症だな。亜矢子の事はもう吹っ切れた筈なのに。
そもそも今の男が恋人とは限らないじゃないか。友達かも知れないだろ。

それでも・・・、やっぱり切ないもんだな。

亜矢子の事が云々じゃなくって
残ったまま治らない傷が抉られるとでも言うか・・・。

トラウマを思い出した。いわゆるフラッシュバックした。
そんなとこなんだろうなこれは。表現が正しいかどうかは分からないけど。



しばらく落ち込み続けた後、ようやく悲しみに慣れて来た。

まだ悲しいし辛いけど、それなりに動けるようにもなった。

思い出さなければ何とか大丈夫だ、
普段はそんな事を考えないようにすれば・・・、何とか。

亜矢子の姿を見てまた悲しくなった事で分かった。

とにかく忘れるように努力するしかない。

悲しみに縛られて忘れる努力をしないから
いつまで経っても変われないんだ。

だからもう、考えない。

これ以上は憂樹にも心配をかけちゃうしな・・・。



この時、俺は・・・

自分の心の中にある想いが生まれていた事に気付いていなかった。

結果的には・・・それがこの暗闇を晴らすきっかけになっていた事と
迷路の出口が見つかる理由になっていたんだ。

俺が『それ』を自覚するのは・・・

もっとずっと後になってからだった・・・。



つづく


↓宜しければ押してやって下さい

     

〜another story from yuki〜vol.5「酷似」

「・・・そうか。じゃあ聞くのは無理って事になるな」
「そうね。自力で調べて辿り着くしか無いよ」
「でもおかしいですよね。まさとさんは、ユキさんには何でも話してたんですよね?」
「何でもって言うと微妙だけど・・・、まあ色々話してたね」
「それなら、名前を言うくらい大した事じゃないと思うんですけど・・・」
「そうね。私も同じような事を思った。
 恥ずかしいって言うのも分かるけど・・・何か特別な理由があるんだと思う」
「ま、そこは考えててもしょうがないだろ。あれこれ考えてても推測の域は出ない」
「だね。今は、アキラの情報に期待するしか無いって事よ。
 ・・・さ、この話はここまで。仕事を始めましょ」



「・・・よし、終わった!」
「今日はちょっと面倒だったな」
「そうだね。・・・19時か」
「アキラさん、連絡無いですね」
「昨日の今日だしな。いくらアイツでも一日じゃ難しいんだろ」
「どんな状況か聞いてみた方が良いんじゃないですか?」
「あの子はヘソ曲りだから、そんな事したら機嫌悪くするわよ」
「そうなんですか・・・」
「もう帰るか。アイツには明日また連絡をして貰うって事で・・・」

ピピー

『アキラです!』
「・・・タイミング良いな」
「繋いで」
「あいよ」
「はぁい、アキラ」
『ユキさん!どうもこんばんわ!』
「こんばんわー。何か分かった?」
『まだ一部ですけど・・・、とりあえず分かった事を話そうと思いまして』
「うん、そうしてくれると嬉しいな。どこまで分かったの?」
『まずマッキーですけど・・・、こいつは何も情報が入って来ないです』
「全く?」
『ええ。登録日を見て貰えると分かるんですけど、今年の2月に登録したばっかですし
 マッキーを知ってる人間自体がいないんですよ』
「なるほどな。まあユーザー歴が浅いなら当然か」
「と言う事は、マッキーを調べるのは相当苦労しそうだね・・・」
『もちろん、今後も情報は集めますけど』
「他の二人は?」
『フィンですけど、面白い情報が聞けました。
 こいつ、同じく今年の2月にパーティーを脱退してますね』
「脱退?今のじゃない別のパーティー?」
『そうです。その当時のメンバーにはマッキーはいなかったそうです』
「脱退の理由は何だったんだ?」
『詳しくは分からないですけど・・・、どうやらフィンがワガママを言い出したらしくて
 そこから喧嘩になったらしいですよ』
「ワガママ・・・?」
「その情報源は、当時のメンバーか?」
『はい。あんまり話したくないって言われましたけど、勝手な奴だって事は聞けました』

・・・・・・。

そう言えば・・・、まさとがパーティーを組んで少しした後に・・・。

「何か分かったのか?」
「うん。ちょっと面白い事を思い出したの」
「面白い事?」
「まさとがパーティーを組んだ頃の話はしたでしょ?」
「ああ、フィンのダークエルフに経験値を取られまくってたってやつな」
「私はこの時のまさとの話を聞いてて不審に思った事があったの。
 どうしてパーティーの他の人はレベルが低いのか、ってね」
「そうだな。ダークエルフになればレベルが1になる。
 ましてやダークエルフはレベルが上がりにくいから強くなりづらい。
 って事は、他のメンバーがしばらく守ってやるのが定石だが・・・」
「ダークエルフになるにはレベルが50は必要だから、パーティーを組んでいれば
 当然、他のメンバーのレベルも相当なモノになってる筈」
「にも関わらず、マッキーは始めたばっかだし、一緒にいたレックスってのもレベルが低かった」
「フィンがパーティーを組まないで、一人でやってたのかな、なんて思ってたけど・・・
 以前、パーティーは組んでいた。そして脱退した」
「その脱退を機にダークエルフになり、レベルが1に戻ったんで新規でパーティーを組む事にした」
「そして、まさとに出会った・・・。通るわね」
「フィンは生粋のトラブルメーカー、ってとこか」
「そうね。そう考えて良いと思う」

そしてもう一つ・・・。

フィンの性格がワガママ身勝手だと言うのであれば・・・
まさとの同僚のどちらかと同一人物である可能性が出て来る。性格が酷似しているからだ。

どちらかと言うと・・・、リスカをしていた方かな。
まさとと縁を切ったいきさつよく似たケースだし。

やっぱり・・・、この二つは繋がっていた・・・?

「フィンは、まさとさんのバイトの同僚二人の性格に似てるな。
 特にリスカしてた奴とのいきさつと同じじゃないか。 
 と言う事はやっぱり同一人物だって事じゃないのか?」

さすがジュン。私の推理と同じだ。

「そうだね。その可能性は高くなった。もうちょっと調べれば完全に繋がるかも」
「アキラ。フィンの情報は他には?」
『フィンに関してはこれだけです』
「じゃあ引き続き調べてね。最後にガッティの情報は?」
『それが・・・』
「ん?」
『ガッティも全然情報が入って来ないんです』
「・・・そうなの?」

『まさとに嫌がらせをした男=ガッティ』だと考えたから
もしそうならフィンと同じく、何かしらもめ事を起こしているだろうと思ったんだけど・・・。

「こっちも知ってる人間がいないって事か?」
『そうなんですけど・・・、ガッティに関してはちょっと変なんですよ』
「変って何が?」
『ガッティの登録情報を見てみて下さい。登録日の所を』
「マコト、ちょっと出してみて」
「ハイ!」
「これがどうかした・・・、って、これ!」
「!・・・迂闊だったわね。気付かなかった」
『変ですよね?』
「何が変なんですか?」
「ガッティの登録日を見てみろ。2007年2月14日になってるだろ?」
「ええ」
「ガッティはパラディンを使ってる。でもこの日に始めたとしたらパラディンは使えない筈なのよ」
「どう言う意味ですか・・・?」
「自分のキャラをパラディンにするには、まず最初の時点で白魔法使いを選ばないといけないんだ。
 そしてしばらくレベルを上げて、魔法をある程度覚えたらウォーリアに転職させる」
「これで『白魔法が使えるウォーリア』になるんだけど・・・」
「そいつを更に育てて、レベルを30まで上げる。
 その条件を満たした上で、毎年夏にやるウォーリア対象イベントでクラスチェンジをするんだ」
「ここまで言えばもう分かったでしょ?」
「・・・あ!今年はまだそのイベントをやってないって事ですか?」
「そう言う事。最低でも・・・、2006年5月頃に始めてないとね」
「白魔法使いを育てて、ウォーリアにした後、また育てる。
 プレイ時間にもよるが、まあ二ヶ月は欲しい所だよな」
「一番最近では、2006年7月14日だったから
 2007年2月14日に登録した人間がパラディンになれる訳が無いのよ」
「何でそんな事が起こったんですか・・・?」
「まあ、間違い無くID譲渡だろうな」
『ですよね。それしか無いですから』
「あの、ID譲渡って言うのは?」
「基本登録情報を変える時、登録メアドとパスも変えられるのは知ってるでしょ?」
「知ってます」
「住んでいる所とか性別とか年齢とかも変えられるし、ここは何も無いんだけど・・・
 登録メアドとパスを変えると、名前も変えられようになっちゃうのよ」
「え!?そこって一度決めたら変えられないんじゃないんですか?」
「もちろんそうだ。ただ、これは禁じ手のような形で存在する方法なんだ」
「これは『treasure』が最初から設定していたんじゃなくって、ユーザーが見つけた技なの」
「いわゆるバグだな」
「登録メアドとパスを変えた後、名前をいじってみたら変える事が出来た・・・。
 ネットにこの技を書き込んだ途端大きく広まり、そして誰もが同じ事を出来たのよ」
「『treasure』の運営事務局は黙ってなかったんですか?」
「当然、対処したさ。連絡を受けてバグを直そうとしたが・・・
 運営事務局は直すんじゃなく、これを利用して今までに無い機能を使えるようにしたんだ」
「今までに無い機能?」
「マコト。もし仮に、そのバグに何の対応もしなかった場合どうなると思う?」
「・・・IDを売買する人達が出て来ます」
「そう。あるキャラを育てて、それを売りに出す。買う側は、IDナンバー、メアド、パスを聞き
 取引きが終わった後に名前を変えれば自分のキャラとして使える」
「ID売買自体は、最初からあったんだけどな。ただ事務局がIP一致システムを強化したから
 それが出来ないようになったんだ」
「ID譲渡は、それの応用なのよ。名前を変えられるっていうバグを直すんじゃなくて
 変更の前と後とでIPが同じかどうかをチェックして名前を変えられるって所は残したの」
「その時、IPが違えばID売買の可能性が高いからな。ネットカフェの事も考えてあるし
 これは正に怪我の巧妙で、名前が変えられる技として定着した訳だ。
 で、自分から自分にIDを譲渡する・・・、って事で『ID譲渡』と呼ばれるようになったと。
 ちなみにバグの影響で登録日もリセットされちまうんだよな」
「ただ・・・、実際にそれを使う人間ってのはあんまりいないのよね。そうでしょアキラ?」
『そうですね。別に名前なんか変える必要がありませんから。いてもごく少数らしいです。
 ただ、ある一部の奴らには好評みたいですけど』
「どんな人達ですか?」
「もめ事を起こす連中よ」
「・・・自分の情報を隠す為!」
「正解だ。同じ名前じゃ例えば2ちゃんとかに晒されちまう。
 でもこうして名前を変えて更に転職もしちまえば同じ人間と分かる者はまずいなくなる」
「IDナンバーを律儀に覚えてる人なんていないでしょうしね」
「で、ガッティの話に戻るが・・・。こいつはそのID譲渡をやったと考えて間違い無いな」
「問題は・・・、今マコトも言った自分の情報を隠す為なのか。単に気分の問題だったのか。
 理由はどっちにあるのか、ね」

前者であるならば・・・、ガッティもまた最低な人間性を持った男。
つまり、まさとに嫌がらせをした人間と同一人物である可能性が上がる・・・。

「もう少しガッティを調べてみた方が良さそうだな。ガッティの前の名前を知ってる奴がいれば
 そこからID譲渡の理由が聞きだせるかも知れない」
「そうね。アキラ。この後も引き続き情報を集めて」
『分かりました!』

・・・とりあえず今の情報で同一人物である可能性は高くなった。

直接聞いて確認したい所だけど、まさとに聞けないし・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。

「・・・!!」

そうか、あの手がある!
ちょっと卑怯だけど、ここまで来ればもうしょうがない、か・・・。

「ちょっと策を思い付いたわ。みんなに協力して貰いたいんだけど良い?」
「ああ、良いぜ」
「ハイ!」
『何でも言って下さい!』
「ありがとう。
 ・・・じゃあ、まずアキラ」
『はい!』
「アキラは、引き続き情報を集めて。ただしマッキーはもう良いよ。
 フィンとガッティを重点的に調べて」
「良いのか?」
「マッキーはまだ浅いから情報はまず期待出来ないよ。
 だからいっそ切って二人に集中する方が良い」
「ま、そうかもな」
「同時に、この三人のログイン状況を常にチェックしておいて。
 出来ればいつログインしたか記録しておいてくれると嬉しいな」
『分かりました!やります!』
「で、ジュンだけど」
「俺は何だ?」
「ジュンは、まさとのバイト先の店に行って従業員の確認をして欲しいの。
 まさとは月、水、金とシフトに入ってたから
 その曜日にいる女従業員がターゲットになるでしょ」
「外勤かよ。久し振りだな」
「私が行ったんじゃ、万が一まさとに会っちゃった時に怪しまれるし
 マコトも前に、まさとと会ってるからね」
「そうなの?」
「はい。随分前ですけど・・・」
「じゃしゃーねーな。ま、たまには良いか」
「最後にマコト」
「ハイ!」
「マコトは一番大事よ。同時に一番厳しいかも知れないけど」
「・・・頑張ります!」
「じゃあ、よく聞いて。私と協力してやるんだけど・・・」



上手く行けば・・・、ここで一気に名前に辿り着ける。

さて、上手く行きますかどうか・・・。



つづく
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