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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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・・・しかし、凄いとこだなここは。
慣れれば楽しくなると言うけど、慣れるまでが大変そうだ。

ん?あれって・・・。

「あの、鈴木さん」
「はい?」
「あそこにいる人達って・・・」
「ああ、『treasure』のキャラのコスプレをしてるんですよ。
 コスプレイヤーって言うんですけどね」
「はあ・・・」

コスプレイヤーか。
存在自体は、一応知ってる。
いつだったかゲームショウに行った時にちょっと見た事があるな。
また見られるとは思わなかった。

よく見ると凄いな・・・。
あらゆるキャラのコスプレをしてる。撮影までしてるじゃないか。

これがオタクの世界と言うヤツか・・・。

俺も一応オタクの部類に入るんだろうな。
でも、ここまでディープな所に踏み込んだのは初めてだ。

「工藤さん、緊張してます?」
「え?ああ、そうですね。こう言うとこって初めてなんで」
「イベントとか初めてですか?」
「僕、あんまり行かないんですよ。積極性が無いんで」
「じゃあ、今日はたっぷりと楽しんで下さいね」
「・・・そうしたいですね」

正直、楽しめるかどうかは怪しい。
何て言うか・・・、雰囲気が想像以上だ。

「でも、鈴木さんと工藤さんが、オフ会より先に会ってたなんで驚きですね」
「そうですね・・・、僕も驚きました。世間って狭いですね」
「全然気付かなかったんですか?」
「全然です。鈴木さんも僕だって思ったりは?」
「私も全然です」

・・・憂樹なら、気付きそうだな。
喋り方の特徴に気付いて「そんな気がしてた」なんて言いそうだ。

「あ、そうだ。リュウさん・・・、って言うか工藤さんに言いたかったんですけど・・・
 私のレベル上げに協力してくれてありがとうございます」
「・・・ああ、はい」

気にはしてたのか。

「実は、今のやり方が定着し過ぎてるから変えようと思ってたんです。
 でも、なかなか言い出せなくって」
「・・・すいません、実は僕も、それをフィンさんに言おうと思ってました」
「いえ、別にそれほど気にしてなかったですから。
 定着してるのを敢えて変える必要も無いって思ってましたし」

・・・思いっきり嘘だ。
まあここは本音よりも、こう言っておいた方が良い気がする。

「今度から、私が最前線に出るようにしますよ。ダークエルフなんですから」
「そうですか?ありがとうございます」
「じゃあ、次からは誰がとどめ、とかじゃなくって倒せる人が倒せるって事にしましょう」
「それが良いですよね」

ああ、良かった。
俺が不満を爆発させる前にみんなが改善してくれた。

・・・あれ。

「山口さん」
「あ、はい」
「山口さんも、たまには倒しちゃっても良いんですよ」
「え、でも私は白魔法使いですから・・・」
「・・・鈴木さん。確か今度、魔法使い対象のイベントがありますよね」
「ええ、ありますよ。限定の魔法とか武器が貰えるやつですね」
「それに参加して、山口さんに武器をあげたいんですけど」
「え、良いですよ!私の事なんて!」
「いえ、せっかくイベントがあるんですから。僕も見たいですし」
「じゃあ、やりましょうか。パーティーの戦力アップにもなりますから」
「・・・ありがとうございます」
「良かったね、優希子」

・・・事前にイベントの情報収集をしておいて良かった。
まさかこんな形で役に立つとは思わなかった。

山口さんは、こう言う所でもおとなしいんだな。

何て言うか・・・、鈴木さんについて行ってる感じだ。
参加するのが本人の意思なのかどうか、怪しい気がする。

「あ、ちょっと僕トイレに行って来ます。何処ですか?」
「じゃあ僕も行きますから一緒に行きましょう」

俺とレックスさんは一緒にトイレに向かった。

「そう言えば、レックスさんは本名は何て言うんですか?」
「手塚晋太郎です。でも本名は恥ずかしいんで、レックスのままでお願いします」
「分かりました」

こういう人もいるんだな。

「ところで、工藤さん」
「はい?」
「マッキーさんの事なんですけど」
「ああ、山口さんですね」
「工藤さんはどう思ってます?」
「どうと言うのは?」
「正直に言いますと・・・、僕はちょっと苦手なんですよ」
「・・・そうなんですか」

分かる気はする。
男が苦手なんだし、気を遣わないといけないように思うからな。

「工藤さんは、バイト先でも一緒なんですよね」
「ええ、そうです」
「何か間が持たないとかありませんか?」
「まあ、ありますね。それは」
「ですよね・・・」

・・・何か、嫌な本音を聞いてしまった。

「ゲーム中なら良いんですけど、こう言うオフ会とかだと
 どうしても気を遣わないといけなくなるじゃないですか。
 フィンさんの場合は、普通に話せるから良いんですけど」
「分かりますよ。でも僕はその辺は苦痛とかじゃないですから
 気を遣うのは全く気にならないですね。
 で、どう思ってるかって言う答えですけど・・・
 まあ普通に思ってますよ。特にどうこうとかは無く」
「凄いですね・・・」
「いやー、単にお人好しなだけですよ」

そうだな。レックスさんの方が普通なんだろう。
俺はお人好し過ぎるから気にならない。それだけの話だ。



そしてその日は、そのまま終わった。

何をしたかと言えば、結局雑談くらいしかしてない。

まあ参加費は1000円だけだったし、色々体験出来たし
少なくとも損はしていないだろう。
むしろ貴重な体験って事で得をしたと言えるかも。

「うわ、寒いですね」
「もう三月なのにまだ寒くなるんですね」
「良かったー、コート持って来て」

俺も厚着をして来て良かった。
ここんとこ、夜になると急に冷え込むからな。

「優希子、そんだけしか着てないの?」
「だって、昼間は暖かかったし」
「馬鹿ねー、最近夜は寒くなるじゃない」

・・・山口さんが震えてる。
見るからに寒そうな格好だ。
夜を甘く見てたのは明白だな。

「山口さん、これ着て良いですよ」

俺は、自分のコートを脱いで山口さんに渡した。

「え!良いですよ!工藤さんが寒いじゃないですか!」
「僕は大丈夫ですよ、厚着してますから。・・・駅までなら」
「でも・・・」
「さあ、行きましょう行きましょう」

俺はコートを返される前に歩き出した。
こうすれば、山口さんも着ずにはいられないだろう。

正直、目の前で寒がられると放っておけないんだ。
自分が寒い思いをするのは耐えられるけど
友達とかだと助けたくなってしまう。
お人好しもここまで来ると凄いだろうな。自分で言うのも変だけど。

俺に続いて、鈴木さん達が歩いて来た。
確かに寒いけど、駅までなら何とかなる。



・・・あれ?

山口さんが俺の傍に来た。

いや、明らかに俺の『隣』にいる。

店でもこんなに接近した事は無いのに。

山口さん?

・・・近いですよ?



つづく



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