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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「挑戦状については、晩メシの後に出す。
 晩メシは7時からの予定だから、それまで観光でもして来いや」



そう言われた俺と憂樹は、とりあえず外に出た。

「何か・・・、物凄い事になって来たね・・・。挑戦状だなんて」
「総吉オジサン、前から言ってたんだよ。『ワシの孫は賢い奴らばっかだな』って。
 負けず嫌いだからね。一度、私達をギャフンと言わせたいんじゃないの?」
「負けず嫌いって・・・。孫に対抗心なんか持ってどうするんだよ・・・」
「あら、カッコ良いじゃない?いくつになっても負けん気が強いって凄い事だよ。
 ま、大人気ないとも言うけどね」
「あはは・・・」

直接では無いにしても、総吉オジサンの事をこんな風に言えるなんて
とことん憂樹は凄い・・・。
誰に対しても引かないって言うか・・・。

「さて、これからどうしよっか?」
「やっぱり観光でも行く?母さんのお土産も選びたいし」

それにせっかく憂樹と二人なんだし、一緒にどこかに行って・・・。

「おい!」

・・・?

「総吉オジサンに挨拶して来たか?」
「ちゃんと失礼の無いように出来た?」

・・・また秀一達が来た。
とことん俺達を馬鹿にしないと気が済まないのか。
法事で会った時はそんなに絡んで来なかったくせに。

「御心配無く。きちんと出来たから」
「はは、どうだかなあ」
「アンタ達こそ、きちんと出来たの?
 そんな裏表の激しい人間は、思わぬ時にメッキが剥がれるもんよ」

・・・うっわー。

「何だと!?」
「ははは。憂樹、しばらく会わない内に随分と逞しくなったな」
「人間はね、ほんの少しの時間でも信じられないくらいに変われる生き物なのよ。
 ね、雅博?」
「・・・え?あ、ああ」

そうだ、雅博って俺じゃないか。
急に話を振られた事と、憂樹に『雅博』って呼ばれ慣れてない事が重なって
すぐに反応出来なかった。

「はっ、さすが両親がいないだけあるねえ。逞しくなった事で」
「・・・!」

こいつ・・・!

真哉だか透だか、どっちだかは分からないけど
やっぱりその事を・・・!!

「おい!いくら何でも言って良い事と悪い事があるだろ!!」
「何だよ、俺は褒めてるんだぜ?逞しくなったねえ、って」
「ふざけんな!」

その時、俺は腕を掴まれた。

「放っときなさい」

憂樹が・・・、俺を止めてる。

「でもさ・・・」
「良いから」
「・・・うん」

憂樹の方が、俺よりずっと大人だな・・・。
直接言われたのは憂樹の方なのに。

平気だとは言ってたけど、実際に言われてもやっぱり平気なのか・・・。

「あれ?やらないの?」
「ま、その方が賢明だよねえ」
「・・・・・・」

こいつら・・・。

「ところで挑戦状の話は聞いたんだよな?」
「ああ・・・、聞いたよ」
「総吉オジサンの真意は何だか分かるか?」
「真意?何だよそれ?」
「総吉オジサンは、自分と孫達の戦いだって言ってたけど
 本当の目的はそんなんじゃない。俺達の中で勝ち組と負け組をハッキリさせる為なんだよ」
「え・・・!?」
「ふーん。つまり、この後のテストでアンタ達と私達との差が証明される。
 そう言いたい訳?秀一?」
「そう言う事さ。じゃなきゃ、こんな事をする訳無いだろ」
「・・・・・・」
「なるほどねー。ますます楽しみになって来たよ」
「ははは、とことん強気だな憂樹。
 まあせいぜい恥をかかないようにするんだな」
「じゃーねー」

・・・秀一達は行ってしまった。



「・・・憂樹」
「ん?」
「今の話・・・、ホントなのかな」
「優劣をつける為にテストをするって話?」
「うん」
「そんな訳無いじゃない。あんな奴の戯言を信じちゃダメだよ」
「・・・そうなの?」
「総吉オジサンは、人間に優劣をつけるってのが大嫌いなんだよ。
 気にするのは、本気になってるかどうかって所くらい。
 本気になってる人間に優劣をつけるなんて失礼だし
 自分はそんなに偉くない、って言ってるしね」
「へー・・・」
「結果としてついちゃう時もあるけど
 それはその人の糧として、今後の成長の為にハッパをかけさせる意味ってだけであって
 順位とかにどうこう言ったりはしないよ。
 やる気が無くて悪い順位、ってのだと怒るけどね。
 本気でやってそうなった場合は『悔しかったらそこから這い上がって来い!』
 なんて言うから」
「そうなんだ・・・」

熱い人なんだな・・・。知らなかった。

「憶測もいいとこだよね。ほとんど妄想だよ」
「ははは・・・」

さすが憂樹だ。
本当に、誰に対しても全く引かない。

「さて、それより観光でも行こっか。せっかく来たんだし」
「そうだね」
「とりあえず・・・、市内でも回ってみようか」
「うん、じゃあ早速行こう」

秀一達の嫌味を早く忘れたかった。
その為に、早く別の事をしたかった。



と、その時。



「・・・うおっ!」

歩き出した途端、後ろからシャツを引っ張られた。
あまりにも突然だったので驚いてしまった。

誰がやったかって・・・
考えるまでも無く憂樹だった。

「・・・どうしたの?」
「さっき・・・、ありがとう」
「え?」
「私の為に怒ってくれて・・・」
「ああ・・・」

あいつらが両親の事について触れた時か。

「嬉しかったよ。本当に優しいんだね、まさとは」
「いやあ・・・、そんな・・・」
「本当に・・・、ありがとう・・・」


・・・・・・。



憂樹・・・。



つづく



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