第七十七話・仕切り直し

鈴木さんから電話が来た。

『あ、くどっち？昨日はごめんね』
「元気になったの？」
『おかげ様で』
「そりゃ良かった。って、山口さんに連絡した？
　昨日、すっごい心配してみたいだよ」
『したよ。あれこれ聞かれたさ』
「そうだろうね。メールだけだったんだけど
　明らかに『心配してる』って分かる文面だったし」
『優希子にも悪い事しちゃったね』
「で、イベントはどうするの？」
『来週またあるし、そっちに行かない？』
「あ、そうなんだ。じゃあそれで良いよ」
『オッケー。じゃあ決まりだね』

良かった。
鈴木さんと山口さんとで何か気まずい事になったりしないかと
ちょっと心配だったんだけど大丈夫か。

・・・さて。
じゃあ今度はこっちだな。

俺は、山口さんに電話をかけた。

『もしもし？』
「あ、工藤です」
『こんにちわ。どうかしたんですか？』
「昨日、すいません。すぐに返事が出来なくって」
『でも病院にいたんですよね？それじゃ仕方ないですよ。
　気にしてませんから大丈夫ですよ』

ああ、良かった。
そこがちょっと不安だったんだよな・・・。

「鈴木さんから連絡ありましたよね？」
『はい。昨日、工藤さんからメールを貰った後しばらくしたら』
「鈴木さんが、イベントは改めて行こうって言ってたんですけど・・・」
『あ、それなら私も聞きましたよ。
　工藤さんの都合次第だね、って事になりました』
「そうだったんですか。いつの間にかそこまで話が進んでたんですね」

何やかんやあったけど、上手く軌道修正出来たみたいだな。
良かった良かった。



と、言う訳で日曜日。
改めてイベントに行く日だ。

前回と同じ事にならないように、前日の徹夜カラオケはやらなかった。



当然のように、鈴木さんから文句が来たが・・・。

「何でよー！良いじゃん別に！」
「良くねーよ！また倒れたらどーすんだ！」
「唄いまくってれば問題ナッシングだっての！」
「8時間も唄い続ける気か！昨日は4時間くらいで疲れてただろ！」
「あの時は・・・、たまたまだよ！」
「たまたまでも、再発を防ぐのが反省ってもんだろう！」
「話さなきゃ大丈夫だよ！」
「とにかくダメ！イベントに備えて寝ろ！」
「ぶー！意地悪！」

何か必死に言い合ってしまったけど
別にいがみ合ってる訳じゃないんだよな・・・。

むしろ仲良しだからこそ出来るモノって言うか・・・。



「昨日、くどっちに意地悪されちゃってさー」
「そうなの？」
「カラオケ断っただけだろう・・・。根に持つなよ・・・」

本気では無いだろうけど・・・。ははは。

そんな事をしてる内に、会場に着いた。

「あ、ガッティさんがいた」
「今こっちに来てる人？」
「そうだよ」

俺達の所に、男が来た。この人がガッティか。
何個もピアスしてたり服が派手だったり、ちょっと奇抜な人だな・・・。

「この人がガッティさん。
　ガッティさん。この二人が私の友達だよ」
「初めまして。マッキーです」
「どうも。リュウです」
（『リュウ』はまさとのHN、『マッキー』は山口優希子のHN）
「はじめまして。ガッティです」



・・・・・・。

何か感じの悪い人だな・・・。

目つきが悪いって言うか・・・。

と言うか、明らかに俺を敵意のある眼で見てないか・・・？



つづく



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