第七十三話・意外な接点

明日はイベントに行く事が決まった。

・・・だが。

今、俺は鈴木さんとカラオケにいる。
しかも徹夜でやる事が決まってしまったんだ。

前々から誘われてはいたけど、遂に押し切られてしまったんだよな・・・。

このまま朝までカラオケで、一旦家に帰ってイベントに行く予定だ。
なかなかハードスケジュールだなあ・・・

気付けばもう二時過ぎか。
十時過ぎにここに来たから、既に四時間は経ってるんだな・・・。

俺もいくつか唄ったけど、ほとんど鈴木さんが唄ってる。
持ち歌が無いから構わないんだが、よくそんなに唄えるな・・・。

「あー、疲れた。ちょっと休憩」
「そりゃ疲れるだろうねえ」
「何か話ししようか」
「良いけど？」
「優希子とはどう？何か進展とかあった？」
「またそれかい！」

まあ、予想は出来てたけどさ・・・。

「どう、と言われてもねえ・・・。何も無いよ」
「そうなの？つまんないなあ」

いや、本当は山口さんが彼氏と別れて（と言うよりフラれて）
俺が告白して今は返事保留状態って言う、色々あった後なんだけどね・・・。

そしてこの前なんか、簡単な約束だけどディズニーランドに行く事になった上に
まだ決定じゃないのに下調べに行くくらい気合いが入ってるんだけどね・・・。

フラれた事以外なら話しても良さそうな気はするけど・・・
ま、とりあえず黙っておくか。

「じゃあさ、また私の話でも聞いてくれるかな？」
「・・・何？」

また重い話をする気なのか？

「私さ、約束を破られるのって嫌いなんだよね」
「ほう？」
「特にドタキャン。それやられる方はすっごい嫌でしょ」
「まあね」
「そんなんだったら、最初からするなって思うの」
「でも、どうしても仕方ないって時もあるじゃん」
「そうだけどさ。約束をしたんだから。それを優先させるべきじゃない？
　約束を破るってのは嘘をつくって事なんだよ？」

約束を破る事は嘘をつく事、か・・・。

何かニュアンスが微妙に違う気もするけど・・・。
まあ結果論で言えばそうなるか。

「だから私も約束は絶対に守るようにはしてるんだ」
「良い事じゃない」
「当然だよね。人として、大人として」

愉快な性格の割には大人な考え方だな。

・・・ん？

「ねえ。その待ち受け画像って・・・、鈴木さんと山口さん？」
「え？そうだよ。優希子と二人で写メったのを使ってるの」

その辺は子供っぽいような気がするんですけど・・・。

「写メとか好きなの？」
「そうだね。友達になった子とはみんな撮ってるよ。
　よかったら見てみる？」
「・・・じゃあ、遠慮なく」

・・・「見る？」と聞いてたが、本当は鈴木さんの方が
俺に見せたかったんじゃないのかな。どっちでも良いけど。

「・・・また随分と沢山あるなあ」

画像フォルダの使用率が80％以上って出てる・・・。
写メだけでここまで使えるものなのか・・・。

「この携帯、古いでしょ」
「そだね。最後に機種変したのが三年くらい前だったかな。私、あんまり変えないから」
「だと思った。年期が入ってるもん、これ」

・・・あ、これ山口さんだ。
二人で仲良さそうに写ってるな。



「・・・！？」

これ・・・、この写真って・・・。

「ねえ。この人・・・」
「その人がどうかしたの？」
「知り合い？」
「うん。どうして？」
「これ・・・、佐藤亜矢子じゃないの？」
「そうだよ。だって私の先輩だもん」



・・・マジですか。



つづく



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