第七十話・夢と魔法の王国（前編）

俺は今・・・、千葉県の舞浜駅にいる。

そう。ディズニーランドに行く為だ。

下調べをする為に行く事を決めてしまった。
もう後戻りは出来ない。今更帰る訳にはいかない。

引き返したくないと言うのもあるけど・・・。

「あー、久し振りに来たなあ」

憂樹がいるからだ。
俺が下調べに行く事を決めると、一緒に行ってくれる事になったんだ。

・・・憂樹が久し振りに行きたかっただけじゃないかとも思うけど。

「うっわー、何年振りだろう。駅前、随分変わったね」
「何言ってるのよ。相当前からこんな風になってるよ」
「・・・マジで？」

相当、時代に取り残されてるな・・・。

「ねえ、憂樹。あれ何？」
「ボン・ヴォヤージュって言うお土産屋さん」
「そんなの出来たんだ」
「・・・あのね。あれが出来たのは2001年だよ」
「じゃあ、最後に来たのはそれより前かな・・・」
「そこのは何だか分かる？」
「イクスピアリだろ？」
「ピアリは知ってるんだ」
「・・・いや、雑誌か何かで読んだだけ」
「それでよく案内しようって気になったわね・・・」
「いや、恥ずかしい・・・」

そう。山口さんと来た時はいろいろ案内してあげたい。
その辺りを憂樹に言ったら、それならしごいてやると
一緒に行ってくれる事になったんだよな・・・。

とりあえず、ディズニーランドのゲートに向かう。

「まさと。ちょっとクイズ」
「え」
「ディズニーランドで、一番新しいアトラクションって何？」
「・・・タワー・オブ・テラー」
「それはシーでしょ！！」
「あ、そっか・・・」
「正解は、バズライトイヤーのアストロブラスターです。
　トゥモローランドにあるよ」
「なるほど」
「ちなみに、ミステリーツアーがもう終わってます」
「え！あのシンデレラ城の！？」
「そう。去年の4月にね」
「知らなかった・・・」
「まさとのディズニーに関する時計は、相当前から止まってるね。
　早く今の情報に修正しないと案内なんか出来ないよ」
「はい・・・」

確かにな。
ガイドブックは一応読んで来たけどそれだけじゃ修正し切れない。

ゲートをくぐった後、ガイドマップを貰う。

「とりあえず、ぶらっと一周してみようか。
　今のディズニーランドを体感した方が良いよ」
「・・・そうします」

俺と憂樹は、まずワールドバザールを歩いた。

「これがグランドエンポーリアムです」
「でっかいなあ」
「元々は普通のエンポーリアムってお店だったんだけど
　タウンクロージャーズって言うお店と
　メインストリートシネマって言うアトラクションと統合したの。
　それでこのグランドエンポーリアムになったんだよ」
「へえ・・・」
「ここで注意。夜のエレクトリカルパレード以降は
　絶対に行っちゃダメ。恐ろしく混雑するから」
「それより前に済ませろと？」
「そうだね。昼の内に買ってロッカーに入れる。それが無難かな」
「お菓子ってここで良いの？」
「ああ、それならあっちのコンフェクショナリーの方が専門だよ。
　・・・って、今は『ワールドバザール』が付くのか。
　色々と変わったから」

・・・本当によく知ってるなあ。

「まさと。せっかくだからお菓子でも買って行こうか」
「そうだね」

俺はチョコクランチを。憂樹はクッキーを買った。

「あら、定番なモノ買うわね」
「え？いや、これよく見るからさ」
「それって定番のお土産お菓子で有名なんだよ」
「へー。だからよく見るのか」



さて。

いよいよパーク内を見て回るか。



つづく



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