第六十六話・気付かなかった想い

えーっと・・・。

何で俺は・・・、告白なんかしちゃったんだろう・・・。

「工藤さん・・・、本気なんですか？」
「え、あ、いや・・・」

とりあえず落ち着こう。
勢いだけで告白したなんてカッコ悪いにも程がある。

・・・・・・。

・・・・・・。

「俺は・・・、本気ですよ。
　フラれたばっかりの人に告白なんて卑怯かも知れないですが」
「いえ・・・、嬉しいですけど・・・。でも何でですか？」

落ち着いたら、自分の気持ちが認識出来るようになって来た。

「何でですかね・・・？気付いたら惹かれてたってとこですよ。
　色々と相談に乗ったりしてる内に守ってあげたくなった。
　そんなとこだと思います。
　彼氏が別れたって聞いて、ちょっと『やった』とか思いましたし。
　嫌な男で申し訳無いですけど・・・」

・・・嘘ではない。
そんな男と別れるべきだって思ってたし
結果としてそうなったから『やった』と思った。

でも、それは今にして思えば山口さんに惹かれてたから。
だからこそ、そんな風に思った。

そんな気がする・・・。

「で、どうですかね、俺は・・・？」
「工藤さんって、彼女さんいないんですか？」
「いないですよ」
「・・・いると思ってました。こんな良い人にいない訳無いって」
「はは・・・、ありがとうございます」

いない訳が無いどころか、連敗記録更新中なんですよ・・・。

「ただ・・・」
「はい」
「正直、今は・・・、誰とも付き合えないって言うか・・・
　そう言う事が考えられないんですよ・・・」
「まあ、そうですよね」

俺も、亜矢子にフラれた直後はそんな感じだったしな。

「とりあえず・・・、保留じゃダメですか？」
「それは別に『NO』と言ってる訳じゃないんですよね」
「はい。あくまでも保留ってだけです」
「それなら構わないですよ。落ち着いたら返事をして下さい。
　いつでも良いですから待ってます」
「分かりました」



何だか・・・、勢いに流されちゃった感は否めないけど
告白してしまったな・・・。

もう後戻りは出来ない、か・・・。ははは。

しかしまた保留なんて、亜矢子の時と全く同じじゃないか。

亜矢子はダメだったけど・・・

今回は実らせたいな・・・。



つづく



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