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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「答え分かった?」
「・・・息子かな」
「何で?」
「アリバイが無いから」
「そんなんで犯人扱いしてたらキリが無いでしょ!
 大体、密室の謎が解けてないじゃない!」
「・・・あ、メイドだ!」
「理由は?」
「薬に細工したんだよ。
 それならほら、主人が部屋の鍵を閉めてから薬を飲めば
 自分で密室を作った事になるし、犯人は出なくて良い」
「それは引っ掛け。完全に出題者の罠にはまってるよ」
「え・・・」
「確かに薬に細工すれば遠隔殺人は出来るけど
 逆に、真っ先に自分が疑われちゃうじゃない。
 薬を管理してたのはメイドなんだから」
「まあ・・・、そうか」
「そもそも、死因とかが明かされてないでしょ?」
「あ、そう言えば」
「つまり、注意するべき所はそこじゃないんだよ」
「あれ、ちょっと待って。じゃあ消去法で行くと主人の妻?」
「そうよん」
「どうしてそうなるの?」
「まあ、見てなさいって」

いつの間にか、正解発表の時間になっていた。

答えが分かった人は挙手、と言っているが
まだ誰も挙げていないようだ。
さすがにみんなも分からないのか。

「さて、どうでしょう?分かった方はいませんか?」
「はい」

憂樹が手を挙げた。
自信ありげな顔してる・・・。

「はい、ではそこの方お願いします!」
「犯人は・・・、主人の妻です」
「ほう、そう来ましたか!では、密室の謎を解明して下さい!」
「まず、主人を部屋で殺害します。この時、犯人は普通に部屋を出て構いません。
 ただし、出る時に外側から鍵をかけるんです」

外側から鍵をかける・・・?

「そうした後、何食わぬ顔で主人の部屋に向かいます。
 返事が無く部屋に鍵がかかっているのでみんなを呼び、ドアを無理矢理開ける。
 するとそこには、当然、主人の死体があります。
 この時、犯人以外の人は死体の方に注意が行っている筈なので
 そのスキに犯人は鍵を落とすんです。そして自分で鍵を見つける。
 そうすれば、誰もが『鍵は内側からかかっていた』と思い密室殺人が成立する」

なるほど、そう言うトリックか。
妙に状況が説明されてないのは、あれだけで必要な情報が出ていたからか。

「・・・犯人はメイドかも知れないですよ?ほら、薬に細工して・・・」
「そんな事をすれば、自分に疑いがかかるのは目に見えています。
 それにこの問題には死因の事には触れられていません。
 毒殺と言う事であれば、その線もあると言えますが」

さっき憂樹が言ってた事だ・・・。
何だろう、挑発じみた言い方だな・・・。

「いや、お見事。正解です!」
「ありがとうございます」

そう言うと、憂樹はまた座った。

「・・・よく分かったね」
「だから言ったでしょ。こんなの初歩中の初歩だって」
「借りた本に、このトリック使ってるやつあった?」
「無いよ」
「へ?」
「初歩過ぎて、今時こんなトリック使う人いないよ。
 まあ初心者にはもってこいかも知れないけど」

・・・つまりそれが分からなかった俺は、超初心者クラスって事か。



それから何時間か、いろんな話を聞いたりしたが・・・。

推理系はマニアック過ぎる・・・。とてもついていけない・・・。



難しい話ばかりだったけど、ようやく終わった・・・。



「どうだった?」
「いやあ・・・、難しいね推理物って」
「推理力を鍛えてないからだよ。慣れれば面白いよ」
「そうなの?」

まあ、トリックが分かるようになれば面白いと感じるのかも知れないけど。

「あ、やっぱり柴原さんだ」
「ん?」
「え?」

知らない人が俺達の所に来た。

「あらこんにちわ、牧野君」
「いやあ、久し振り」
「知り合い?」
「高校の時の同級生だよ。牧野君。彼、私のいとこ」
「どうも。主宰の牧野と言います」
「あ、こんにちわ。えーっと、柴原のいとこの工藤です。
 ・・・って、主宰さんなんですか?」
「そう、牧野君は高校の時から推理同好会ってのをやってて
 それを卒業後も続けてるの」
「凄いですね!」
「ありがとうございます。
 とは言っても、せっかく作ったんだから続けたかっただけなんですけど」
「ウチの高校、推理同好会なんて無かったんだよ。
 でも牧野君は、学校に申請して自分で立ち上げたんだから」
「へー・・・」

凄い積極性だな。俺とは大違いだ。
さすが憂樹と親しいだけはある、ってところか。パワフルだ。

「高校卒業以来だね」
「そうだね。私、人付き合い悪いし」
「今、こっちに住んでるの?」
「うん。って言ってもこっちに住み始めたのは最近だけど」

俺の家に下宿してるとは言わないんだな。
・・・当たり前か。

「でも突然来てくれるなんてどうしたの?」
「いとこを鍛える為にね。まあ世間勉強ってとこかな」
「はは、それでウチに来てくれるなんて光栄だね」
「ところで、あのやり方って北岡さんの真似じゃないの?」
「え?ああ、まあね」

最初にクイズを持ってきて興味を惹くってやつの事か。

「北岡さんって?」
「私達の先輩だよ。高校の時、推理同好会に入ってくれたんだよね」
「文化祭の時に、いろいろ展示する事になったんだけど
 それを普通に見せるんじゃ面白くないって、あんなやり方を考えたんですよ」
 その時は好評だったんだけどね。でも、北岡さんの卒業後は
 推理の問題を作れる人がいなくなっちゃって・・・。それっきりだったんです」
「で、最近になって牧野君も問題を作れるようになったからやるようになった。
 そんなとこ?」
「いやあ、相変わらず鋭いな。正解だよ」

なるほどね。だから憂樹は知ってたのか。
しかし『相変わらず』って・・・。高校の時からこんなだったのか憂樹は。

あれ?ちょっと待てよ?

「ねえ、って事は憂樹はその推理同好会に入ってたの?」
「かけもちでね」
「柴原さん、部活かけもちしまくってたよね。いくつやってたっけ?」
「覚えてないなあ。名前だけ貸してたのもあるし」

かけもちしてたのか・・・。ますますとんでもないな。
そして憂樹の推理力は高校の頃から鍛えられてたのか・・・。

「でもさ、随分と初歩的な問題出すね」
「まあ初心者向けだからね」
「古過ぎて、逆に分かりにくいんじゃないの?
 もっと定番なトリック使った方が良いよ」
「うーん・・・、次はそうするか」

会話についていけない・・・。

「あ、そうだ柴原さん」
「ん?」
「秋山君はどうなったの?」
「・・・!」

あれ?一瞬、憂樹の顔が険しくなったような・・・。

「さあ。全然会ってないから知らない」
「・・・そうか」

牧野さんは、気まずそうな顔をした。

秋山・・・?

憂樹はそいつと何かあったのか?もしかして元カレ・・・?
『もう付き合わない』って言ってたのはそいつが原因とか・・・?

・・・って、考え過ぎだな。憶測にも程がある。
何の根拠も無く勝手にそこまで深読みするのも失礼だ。

「さて、いつまでもお邪魔してたら悪いよね。私達はこれで帰ります」
「来てくれてありがとう。よかったらまた来てね」
「そのうちね」

俺達は、そのまま会場を後にした。



うーん・・・。

ある意味では貴重な体験だったけど・・・。
微妙と言えば微妙だな・・・。

今の俺には・・・難し過ぎると言うか・・・。


つづく



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