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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「よし、終わった・・・」

憂樹に借りた本をやっと一冊読み終わった。
まともに本なんて読んだのは久し振りだ。
こんな機会が無ければ読んでなかったかも知れない。

しかし、まあ・・・。悪くはないかな。

俺は本を置き、そのまま布団に入って寝た。



翌朝、そんな俺に意外な展開が待っていた。

「しばらく、私の話は無しになりました」
「え!?」

朝飯を終え、部屋に戻って軽く話をする事になったのだが
憂樹から思わぬ言葉を聞かされた。

「どう言う事?」
「ちょっと仕事が忙しくってね。暇が無いんだよ。
 だからしばらくは自習と言う形にします」
「自習・・・」

学校みたいだ。

「でも自習って何すれば良いの?」
「昨日貸した本は読んだ?」
「・・・言われた通り、寝る前に一冊読んださ」
「じゃあ、追加分を出します」
「追加分!?」

そう言うと、憂樹はまた何冊か本を持って来た。
しかも今度は雑誌や漫画も入っている。

「漫画もあるんだね」
「漫画だからって馬鹿にしちゃダメだよ。
 最近はストーリーもしっかりしてる良い作品が多いんだから」
「これを全部読めと?」
「そう」
「・・・分かった」
「ちょっといつ暇が出来るか分からないから、とりあえず読む事に専念して。
 読み終わったら言ってくれればまた追加出すから」

しばらくは、読書に専念か・・・。



それから数日間、俺は本を読みまくった。

憂樹とは顔も合わすし、多少の会話もするけど長い時間が取れない。


・・・・・・。・・・・・・。

・・・・・・。・・・・・・。



そんな状況が変わったのは、二週間近く経ってからだった。

「ねえ、まさと」
「え?」
「明日、時間ある?」
「あるけど?」
「じゃあご飯でも食べに行かない?」
「え・・・」

それは・・・、まさかデート!?

「あ、デートじゃないからね」
「・・・そう」

違うんかい。
しかも自分から否定しないでくれ。

「え、でも忙しいんじゃないの?」
「落ち着いたからだよ」
「なるほど」

と言う訳で、俺と憂樹はレストランで食事をする事になった。

別にデートじゃないから(憂樹にそう言われたし)、かしこまる必要も無く
普段着で行った。特に緊張もしていない。

「あのさ」
「何?」
「最近、不満とか溜まってない?」
「・・・不満?」
「だって、ここんとこ本読むばっかで私から何も教えて貰ってないじゃない。
 そもそも話自体、まだほとんどしてないんだよ。
 まさとにしてみれば不満が溜まる一方なんじゃないかなって」
「そりゃまあ・・・、不満なんか無いって言えば嘘になるさ。
 でも・・・」
「でも?」
「これも強くなる為の試練なんだろ?だったら俺はちゃんとやるさ。
 厳しいとか地道だってのは覚悟済みだよ、俺は」
「へえ・・・」
「本だって、流し読みとかじゃなくて、ちゃんと内容を受け止めてるよ。
 そうしなきゃ意味が無いんだろ?」
「・・・凄いじゃん。100点満点。よく出来ました」
「え?」
「実はね、まさとの事を試してたんだよ」
「試してた?」
「ハッキリ言って、期待してた事とは全然違う事ばっかりやらされてる。
 もっとためになる事を教えてもらえると思ってた。違う?」
「・・・まあね」
「もしそれで、不満を爆発させてキレたりしたら
 お説教してやろうと思ってたんだけど。
 まさかこんな模範解答みたいな答えを出されるなんて予想外だよ」
「いや・・・、そりゃ俺だって本気で強くなりたいって思ってるし」
「そう、そこなんだよね。本気で強くなるには
 地道な努力っていうのが必要不可欠なの。
 まあ全てにおいて、だけどね。
 問題はそのモチベーションをどこまで持続させられるか。そこを見てたの。
 その為に敢えて地道な努力ばっかりさせてたって訳」
「だからここんとこ、何も言ってくれなかったの?」
「そう」

なるほど・・・。憂樹らしいと言えば憂樹らしいやり方だ。

「忙しいって言うのも、実は嘘。ホントは部屋でのんびりしてたんだよ」
「そうだったのか・・・」
「ムカついた?」
「・・・別に」
「正直に言って良いんだよ」
「いや、ホントにムカついてないよ」
「あら意外。ちょっとだけムカついた、とか言うと思ったのに」
「だって俺の為にやってくれたんだろ?敢えて嘘をついたんだろ?
 だったら・・・、ムカつく筈が無いよ。俺の為にやってくれたのなら」
「・・・何か私が罪悪感みたいなの感じて来ちゃったよ」
「ははは」

本心だった。

確かに本ばっか読まされてて、多少の不満は感じてた。
でも憂樹はこれをやって来た。だからあんなに強くなった。

それなら俺も同じ事をすれば憂樹に近付けるのは間違い無いと思ったんだ。

何の為に本を読むのか。内容もちゃんと理解して受け止める。
憂樹はそれをやらせる為に本を読めと言った。それが分かってた。

それなら俺は、やるべき事をやる。
それだけの事だったんだけど・・・。

何か、認めて貰えたと言うか、褒められたと言うか・・・
凄く嬉しかった。ちゃんとやってて良かった。

「私が貸した本、もう全部読み終わったの?」
「いや、まだ一冊残ってる。まあもうすぐ終わるけど」
「じゃあ終わったらまた追加分貸すからね」
「え!?」
「当たり前でしょ。本を読むってのは続けるの。大事な事なんだから。
 また話はしてあげるけど、それと並行してね」
「はい・・・」



まあ・・・、分かってたけどさ。

ははは。



つづく



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