様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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俺は久し振りに憂樹の話を聞く事になった。
落ち込んでる間にも時間は経ってしまっているんだ。
取り戻さないと。
「さて、今日はルール違反の話をしましょう」
「ルール違反?」
「まさとってさ、結構クソ真面目なとこがあるでしょ?」
「・・・どう言う意味?」
「決まりごとがあると、それを律儀に守っちゃう。
逆に言うと、それを破るのが許せないってタイプ」
「まあ・・・、そうかも知れない。でも何で分かるの?」
「人と話してどんな事を言う人なのか、どんな考え方なのか。
そう言うのを聞いてれば、その人がどんな人間か大体分かるよ。
何となくだけどね」
・・・相変わらず憂樹の洞察力は半端じゃない。
何もかも見透かされているみたいだ。ちょっと怖くなる時もある。
「で、これから話す事は、まさとにはちょっと難しい事かも知れないんだよね」
「・・・へえ?」
「私のモットーの中にね、『奇麗事じゃ真実は掴めない』ってのがあるんだ」
「奇麗事じゃ真実は掴めない?」
「そう。確かにルールを守る事は大事だけどね。
だからってそれにこだわってたら見える筈の真実が見えなくなる事もあるの。
だから真実を知る為には、時にはルール違反を犯す必要もあるんだよ」
「例えば?」
「分かりやすい所で言えば、ハッキングとか」
「ハッキング!?それ犯罪行為じゃないか!」
「そう、犯罪だよ。でも真実を知る為にはそれをやらなきゃいけない時もあるの。
だからって私は犯罪行為を認める訳じゃ無いよ。
犯罪とまでは行かないけど多少の違反行為なら、ね」
「・・・・・・」
憂樹が・・・、物凄い事を言っている。
目的達成の為には手段を選ばないって事か。
確かにそうしなきゃ出来ない事はあるだろうけど・・・。
「私が、まさとには難しいって言ったのはここにあるんだよ。
まさとはその性格から、ルール違反はしたがらない。
でもそれじゃあ、分からず終いになっちゃう事も珍しくないの。
そこを割り切れるかどうかなの」
「なるほど・・・、確かにこれは厳しいな」
「ただ問題は、それが必ずしも正しいと勘違いしちゃいけないの」
「え?それじゃ今言った事と矛盾するじゃないか」
「どこに信念を置くか、によって変わるんだよ」
「信念?」
「今、自分がやっている事が正しいかどうか。
知りたがっている真実は果たして知って良い事なのか。知るべき事なのか。
これを間違えるとただの無法者になっちゃうの。それは凄く難しい。
実はそこを見極める事が一番大事なんだよね」
「何か・・・、難しい話になって来たね」
「ちゃんとついて来てる?」
「はい・・・」
「じゃあ、それを見極める為にはどうすれば良いのか。
それは本当に正しい事が何なのかを知らなきゃいけないんだよ。
筋を通すって言う事がどういう事なのか。間違いって言うけどどう間違いなのか。
それが分かった上で、敢えてルール違反を犯せるようになれば理想だね。
ただ・・・、それでもやっぱり良心の呵責を感じられるようじゃないと」
「真実を知る為にルール違反を犯す事、に対して?」
「そう。奇麗事じゃ真実は知れない。でも完全に割り切るようになっちゃいけない。
微妙なラインだよね。難しいよこれは」
「憂樹は・・・、それが出来るの?」
「出来る、とは言わないけどさ。
それなりに割り切って今でも良心の呵責に悩む事は多いよ。
しかもそれが本当にやって良かったのか、って疑問を感じる事だって。
それは未だにあるんだよ」
「そうなんだ」
「だから言ったでしょ、理想だって。私もまだ勉強中だからね」
「あれ?未だに、って事は最近何かやったって事なの?」
「ええ、いろいろと」
「へえ・・・」
憂樹が言うと、何をどこまでやっているのか想像も出来ない。
まあ・・・、犯罪はやっていないと思うけど。
「あ、そう言えばさ。その本当に正しい事を知るってのはどうすれば良いの?」
「まさとはもう分かってるじゃん」
「え?」
「まさとは、生まれつき正しい事が何かってのを分かる人なんだよ。
だからルール違反が出来ないの」
「・・・そうなんだ」
「まあ、私が言ってるのとはちょっと違うんだけどね」
「どう違うの!?」
「いろいろ」
「それじゃ分かんないよ・・・」
「それは自分で気づきなさい。何もかも教えて貰って身につくと思ってるの?」
「う・・・」
ごもっともです。
「とりあえず、まさとは平和的に生きてきたから経験とかが浅いんだよね」
「経験って何の?」
「人生経験」
「・・・・・・」
二歳年下の憂樹に言われると悲しくなる。
仕方ないか。間違った事を言われてる訳でも無いんだし。
「と言う訳なので、まあ手っ取り早く・・・」
「?」
「この本を読みましょう」
憂樹は本棚から何冊か本を持って来た。
推理小説、恋愛小説、ホラー小説・・・。
うわ、これ『罪と罰』じゃないか。こんなのまであるのか。
「あの・・・、これは?」
「読むの」
「誰が?」
「アンタに決まってるでしょ!」
ああ、やっぱりか・・・。
見当はついていたけど・・・、間抜け極まりないやりとりをしてしまった。
「憂樹は、これ読んだの?」
「もちろん」
「いつ頃?」
「2年前くらいかな」
2年前・・・、憂樹が17の時じゃないか!
「へー・・・、そりゃ凄いね」
「感心してないの」
「これを読むとどうなるの?」
「本を読むってのは、経験不足を補うにはもってこいなの。
もちろん補え切れる訳じゃないけど。てっとり早くするにはこれが良いんだよ」
なるほどね。
単純だけど、効果的でもあると俺でも分かる。
「言っとくけどね、まだまだそんなもんじゃないからね」
「・・・え?」
「それは、とりあえず持って来ただけ。終わったらまた違うのを読む事。
本はその何十倍もあるから覚悟しときましょう」
「・・・はい」
厳しいなあ・・・。
「じゃあ今日は終わり。また明日って事で」
「・・・お疲れ様」
「まさとはまだ寝ちゃ駄目だよ」
「え?」
「寝る前にその本を読むの。せめて一冊は読み終わってから寝なさい」
「・・・分かった」
強くなるって・・・、大変だなあ・・・。
つづく
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落ち込んでる間にも時間は経ってしまっているんだ。
取り戻さないと。
「さて、今日はルール違反の話をしましょう」
「ルール違反?」
「まさとってさ、結構クソ真面目なとこがあるでしょ?」
「・・・どう言う意味?」
「決まりごとがあると、それを律儀に守っちゃう。
逆に言うと、それを破るのが許せないってタイプ」
「まあ・・・、そうかも知れない。でも何で分かるの?」
「人と話してどんな事を言う人なのか、どんな考え方なのか。
そう言うのを聞いてれば、その人がどんな人間か大体分かるよ。
何となくだけどね」
・・・相変わらず憂樹の洞察力は半端じゃない。
何もかも見透かされているみたいだ。ちょっと怖くなる時もある。
「で、これから話す事は、まさとにはちょっと難しい事かも知れないんだよね」
「・・・へえ?」
「私のモットーの中にね、『奇麗事じゃ真実は掴めない』ってのがあるんだ」
「奇麗事じゃ真実は掴めない?」
「そう。確かにルールを守る事は大事だけどね。
だからってそれにこだわってたら見える筈の真実が見えなくなる事もあるの。
だから真実を知る為には、時にはルール違反を犯す必要もあるんだよ」
「例えば?」
「分かりやすい所で言えば、ハッキングとか」
「ハッキング!?それ犯罪行為じゃないか!」
「そう、犯罪だよ。でも真実を知る為にはそれをやらなきゃいけない時もあるの。
だからって私は犯罪行為を認める訳じゃ無いよ。
犯罪とまでは行かないけど多少の違反行為なら、ね」
「・・・・・・」
憂樹が・・・、物凄い事を言っている。
目的達成の為には手段を選ばないって事か。
確かにそうしなきゃ出来ない事はあるだろうけど・・・。
「私が、まさとには難しいって言ったのはここにあるんだよ。
まさとはその性格から、ルール違反はしたがらない。
でもそれじゃあ、分からず終いになっちゃう事も珍しくないの。
そこを割り切れるかどうかなの」
「なるほど・・・、確かにこれは厳しいな」
「ただ問題は、それが必ずしも正しいと勘違いしちゃいけないの」
「え?それじゃ今言った事と矛盾するじゃないか」
「どこに信念を置くか、によって変わるんだよ」
「信念?」
「今、自分がやっている事が正しいかどうか。
知りたがっている真実は果たして知って良い事なのか。知るべき事なのか。
これを間違えるとただの無法者になっちゃうの。それは凄く難しい。
実はそこを見極める事が一番大事なんだよね」
「何か・・・、難しい話になって来たね」
「ちゃんとついて来てる?」
「はい・・・」
「じゃあ、それを見極める為にはどうすれば良いのか。
それは本当に正しい事が何なのかを知らなきゃいけないんだよ。
筋を通すって言う事がどういう事なのか。間違いって言うけどどう間違いなのか。
それが分かった上で、敢えてルール違反を犯せるようになれば理想だね。
ただ・・・、それでもやっぱり良心の呵責を感じられるようじゃないと」
「真実を知る為にルール違反を犯す事、に対して?」
「そう。奇麗事じゃ真実は知れない。でも完全に割り切るようになっちゃいけない。
微妙なラインだよね。難しいよこれは」
「憂樹は・・・、それが出来るの?」
「出来る、とは言わないけどさ。
それなりに割り切って今でも良心の呵責に悩む事は多いよ。
しかもそれが本当にやって良かったのか、って疑問を感じる事だって。
それは未だにあるんだよ」
「そうなんだ」
「だから言ったでしょ、理想だって。私もまだ勉強中だからね」
「あれ?未だに、って事は最近何かやったって事なの?」
「ええ、いろいろと」
「へえ・・・」
憂樹が言うと、何をどこまでやっているのか想像も出来ない。
まあ・・・、犯罪はやっていないと思うけど。
「あ、そう言えばさ。その本当に正しい事を知るってのはどうすれば良いの?」
「まさとはもう分かってるじゃん」
「え?」
「まさとは、生まれつき正しい事が何かってのを分かる人なんだよ。
だからルール違反が出来ないの」
「・・・そうなんだ」
「まあ、私が言ってるのとはちょっと違うんだけどね」
「どう違うの!?」
「いろいろ」
「それじゃ分かんないよ・・・」
「それは自分で気づきなさい。何もかも教えて貰って身につくと思ってるの?」
「う・・・」
ごもっともです。
「とりあえず、まさとは平和的に生きてきたから経験とかが浅いんだよね」
「経験って何の?」
「人生経験」
「・・・・・・」
二歳年下の憂樹に言われると悲しくなる。
仕方ないか。間違った事を言われてる訳でも無いんだし。
「と言う訳なので、まあ手っ取り早く・・・」
「?」
「この本を読みましょう」
憂樹は本棚から何冊か本を持って来た。
推理小説、恋愛小説、ホラー小説・・・。
うわ、これ『罪と罰』じゃないか。こんなのまであるのか。
「あの・・・、これは?」
「読むの」
「誰が?」
「アンタに決まってるでしょ!」
ああ、やっぱりか・・・。
見当はついていたけど・・・、間抜け極まりないやりとりをしてしまった。
「憂樹は、これ読んだの?」
「もちろん」
「いつ頃?」
「2年前くらいかな」
2年前・・・、憂樹が17の時じゃないか!
「へー・・・、そりゃ凄いね」
「感心してないの」
「これを読むとどうなるの?」
「本を読むってのは、経験不足を補うにはもってこいなの。
もちろん補え切れる訳じゃないけど。てっとり早くするにはこれが良いんだよ」
なるほどね。
単純だけど、効果的でもあると俺でも分かる。
「言っとくけどね、まだまだそんなもんじゃないからね」
「・・・え?」
「それは、とりあえず持って来ただけ。終わったらまた違うのを読む事。
本はその何十倍もあるから覚悟しときましょう」
「・・・はい」
厳しいなあ・・・。
「じゃあ今日は終わり。また明日って事で」
「・・・お疲れ様」
「まさとはまだ寝ちゃ駄目だよ」
「え?」
「寝る前にその本を読むの。せめて一冊は読み終わってから寝なさい」
「・・・分かった」
強くなるって・・・、大変だなあ・・・。
つづく
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