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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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学校は何とか間に合った。
まあいつも余裕を持ってるから遅刻なんて滅多に無いんだけど。

ん?あれは・・・、亜矢子だ。

「・・・!」

亜矢子も俺に気付いたらしい。
そう言えば・・・、どんな話をすれば良いんだろう。

まあ、とりあえず挨拶でもするか。

「よう、亜矢・・・」
「・・・・・・」

亜矢子は、そのまま通り過ぎてしまった。

・・・そうか。俺とはもう話す気すら無いのか。

当然と言えば当然かも知れない。
亜矢子は俺をフッたんだ。しかも結構傷付く事を言って。
アイツにとっては、俺と話す事自体が気まずいと感じるんだろう。
短い付き合いだったが、そのくらいは分かる。

って事は・・・、もう完全に縁は切れたって事か。

まあそれはそれで、俺にとってもありがたい話だ。

友達として関係を続けたらきっと辛くて仕方ない。
亜矢子の顔を見て悲しくなる、なんてのが日常になりかねないもんな。

それでもやっぱり・・・、悲しいもんだな。

ちょっと目が潤んで来た。

フラれて間も無い時の俺だったらもっと悲しんでたかも知れない。
憂樹に影響されて気持ちが前向きになったから
今みたいに普通に接しようなんて思えたのかな。

良かった。泣き出したりしないで。

俺は教室に入ると、もう友達が座っていた。

「おはよっす」
「・・・よう」
「・・・・・・」

何かみんなの態度がよそよそしい。

「あれ?どうかしたか?」
「いや別に」

・・・何でそこで目を逸らすんだ。
俺が何かしたのか。

不審に思いつつ、俺も講議を受ける準備をする。

講議が終わった後、さっきの事を聞いてみようと思った。
何か変な事でもしたのか気になった。

講議が終わり、友達の方に向かうと・・・
もうみんないなくなっていた。
いるのは、知らない人達だけだった。

「・・・何なんだ、これ」

その日、一日中がそんな感じだった。
何故か・・・、誰もが俺に対してよそよそしい。
中には挨拶すらしないでそのまま無視する奴までいた。

結局、会話らしい会話と言うものを今日はほとんどしていない。
こんなに孤独感を味わったのは入学して間も無い頃以来だ。

おかしい。何かが・・・おかしい。



俺は家に帰った。
誰もいなかった。母さんは仕事だ。憂樹もいない。

憂樹に・・・、聞いて欲しかったんだけどな。

あれ?そう言えば憂樹って何やってるんだ?
学生では無いよな・・・?

俺って・・・、憂樹の事は何も知らないんだな。
そう考えると、ちょっと悲しくなった。
まあ会ってからまだそれほど経ってないんだし
知らない事の方が多いのは当たり前なんだけど。

俺は自分の部屋に入り、本を読んだりして時間を潰していた。

「ただいまー」

憂樹の声だ!

俺は急いで玄関に向かった。

「おかえり!」
「え?た・・・、ただいま。どうしたの?」
「何が?」
「だって、何か慌てて迎えてくれちゃってるじゃん」
「あ、いや・・・、ちょっと」

そう言えばそうだ。俺も何を慌ててたんだ。
よっぽど待ちわびてたみたいじゃないか。

「どこ行ってたの?」
「もちろん、お仕事です」
「仕事?」

働いてたのか。

よく見たら、手にB5の封筒を持っている。
しかもかなり厚い。書類でも入ってるのか?

「憂樹って仕事何やってるの?」
「事務系、かな」
「へえ」

それにしては服が私服だ。
事務系と言えばスーツが普通だと思うんだが。
そう言う事にうるさくない会社なんだろうか。

「あ、そうだ。ちょっと聞いて欲しい話があるんだけど」
「ごめん、ちょっと今からやらなきゃいけない事があるんだ」
「・・・そうか」

そうだ。憂樹には憂樹の都合があるんじゃないか。
いつも俺に付き合わせるなんて勝手過ぎる。

「じゃあ・・・、後で良いや」
「・・・そんな悲しい顔されたら断りにくくなるじゃない」
「え?あ、いや・・・」

顔に出てしまったらしい。単純過ぎる男だな俺も。

「強くなるって話の続き?」
「いや・・・、それとは違う」
「違うの?じゃあ何?」
「相談、かな」
「ふーん、相談ねえ・・・」

憂樹は靴を脱ぎ、部屋に向かった。

「ちょっと私の部屋に来て」
「え?良いの?」
「早く」
「はい」

そう言われると、俺は憂樹の部屋に入った。

憂樹は、携帯電話をいじっている。
・・・左手でだ。

「10分だけ時間取ってあげる。良いよ、話して」
「ホントか?ありがとう!」
「お礼は後。時間無くなるよ」
「はい、えーっと・・・。今日、大学行ったんだけどさ。
 何か・・・、周りのみんながよそよそしかったんだ。
 相手にもされなかったって言うか・・・」
「みんなって友達?」
「そう」
「で?」
「いや・・・、何でなんだろうって不思議に思って」
「それが私なら分かるかもって思ったの?」
「と言うより・・・、ちょっと聞いて欲しくってさ。
 凄い疎外感みたいの感じて悲しかったから」
「・・・他に変わった事とかは?」
「いや、別に」
「何か無いの?何でも良いよ」
「そう言えば・・・、亜矢子に会った」
「亜矢子さんに?何か言ってた?」
「いや、全く逆。何も言わなかった。と言うより無視された」
「・・・・・・」

憂樹は少し考え始めた。

「ねえ。もしかして、その友達って亜矢子さんとも友達なの?」
「そうだよ」
「その人達は、まさとと亜矢子さんが付き合うかもって話は知ってた?」
「知ってた」
「ああ、じゃあ話は簡単じゃない」
「え!?何?」
「つまり、まさとを仲間の輪から外したの」
「・・・何でそんな事?」
「その人達にしてみれば、まさとが亜矢子さんに告白して
 保留状態って事を知って、亜矢子さんを取られるかも、と
 危機感を感じてたんだろうね、きっと。
 で、結果は付き合う事にはならなかった。
 だから・・・、心置きなくまさとを裏切り者扱い出来ると」
「裏切り者!?俺が?」
「亜矢子さんって良い人なんでしょ?
 他にも狙ったりする人がいた筈だと思うんだけど」
「まあ・・・、多分いるね」
「じゃあ、まさとは完全に抜け駆けしたようなもんじゃない。
 言ってみれば敵だよ」
「・・・・・・」

俺が・・・、裏切り者・・・、敵・・・。

「でもさ・・・、今まではそんなんじゃなかったんだよ」
「それは当たり前でしょ。
 そんな事したら逆に自分が悪者になっちゃうよ」
「何で?」
「嫉妬で敵対心を剥き出しにするんだよ。
 そんなの誰が見ても引くじゃん」
「確かに・・・」
「亜矢子さんと付き合う事になってたら、友達としての関係は継続しても
 それは表面上の付き合いってだけで中身は嫌悪感だらけだっただろうね。
 まあそれに耐えられなくなって、縁を切ってやれ、って思う人もいたかも」
「・・・ひどいな」
「多分、亜矢子さんがまさとを無視したってのも、その人達がやらせたね」
「え!?何で?」
「そうすれば、まさとを輪から外せるからだよ。
 『アイツと友達のままでいたら、アイツの為にもよくないから縁を切るべき』
 なんて言ってね」
「でも亜矢子は・・・、アイツの性格を考えれば
 俺の為に亜矢子から無視をしたとも考えられるけど」
「下手に友達を続けたら、まさとを悲しませるからって事?」
「そう」
「無いとは言わないけど・・・、亜矢子さんって、そんな事出来る人なの?
 逆に優し過ぎて縁を切れないって言うのは無い?」
「・・・!」

言われてみれば・・・、アイツはそんな事は出来ないかも知れない・・・。

「分かんないけど・・・、出来ないような出来るような・・・、どっちだろ」
「じゃあ出来る人だとしても・・・、それを後押しした可能性はあるし
 出来なかったら吹き込んでそれをさせた、って考えられるでしょ」
「それは・・・、あんまりだよ」
「推測だからね。正解だとは言えないけど、一応筋は通ってるでしょ」
「まあ・・・、ね」
「気の毒だけどね。世の中ってこんなもんだよ。
 人間なんてそんなもんなんだよ。
 まさとみたいに純粋な人の方が珍しいんだから」
「・・・・・・」
「さて、そろそろ時間だね。続きはまた後で」
「うん・・・」

俺は憂樹の部屋を出た。



ヤバイ。失恋の悲しさがまた襲って来た。

俺は・・・、一人ぼっちになっちまったのか。

好きな人だけじゃなく・・・、友達まで失っちゃったのか。

何だろう、辛くて仕方ない。

悲しくて悲しくって・・・、涙が・・・。



つづく



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