第四十七話・失敗

・・・最悪な結果になってしまった。
 
タイムアウト・・・。失敗か・・・。
 
レベル40だった山口さんの白魔法使いはレベル1に戻った。
救済措置でもあるかと思ったけど・・・、何も無い。
残酷なくらいシビアだな、現実ってやつは。
 
「すいません、山口さん。力及ばずでした・・・」
『いえ、工藤さんのせいじゃないですから』
 
そうなんだよな。
 
言い訳が許されるのであれば、言わせてくれ。
俺は悪くない筈だ。
 
俺の作戦通りに進めていれば
回復アイテムはまだ残っていた筈で、戦闘に慎重にならず
それほど時間はかからなかった筈なんだ。
 
山口さんが、やたらに使わなければ・・・。
 
って、やめだやめ！
 
こんな事を考えてしまう事自体、情けない。
男なら言い訳するよりも、守ってやれなかった自分を恥じるべきだ。
物事が計画通りに行かないなんて珍しくも何とも無い。
いや、むしろそれが普通ぐらいと考えるべきだ。
 
不測の事態にどう対処するか。対処し切れるか。
そこが腕の見せ所であり、真価が問われる所じゃないのか。
 
それで失敗した俺は、無力だった。それだけの話だ。
 
憂樹も言っていた。なってしまった事をアレコレ言っても仕方ないと。
 
ああ、構わないさ。どんな批判も全部受ける。
そして次は・・・、この失敗を糧にもっと強くなって成功させてやる。
 
 
 
・・・あれ、次って来年じゃないのか？
 
 
 
『残念だったね、優希子』
『うん、でもしょうがないよ』
『レベルの上げ直しですね』
 
・・・悲しい。
 
鈴木さんもレックスさんも俺に何も言わない。
 
何か言われる覚悟はしてたけど・・・、何も言われないとは予想外だった。
これは辛い。散々罵られる方がマシだ。
 
マザー・テレサは言いました。
「この世で最もしてはならないことは無視することです」と。
無視って一番残酷な仕打ちらしいね・・・。
 
『工藤さん』
「はい？」
『ありがとうございました』
「いや・・・、失敗しちゃいましたし」
『私は工藤さんのせいだとは思ってないです』
『ま、気にすんな！鍛え直せば良いんだから』
『工藤さんも気にしない方が良いですよ』
 
・・・ああ、慰めて貰うってこんなに嬉しい事なんだね。
変な感情持ってごめんよ、みんな。 

まあ、それはそれとして。
 
憂樹に何て言おうかな・・・。
 
「絶対に勝つ事」なんて言われたのに
見事に玉砕してた訳だからな。
 
怒ったりはしないだろうけど・・・、何だろう。何か気まずい。
 
コンコン
 
「まさと？」
 
うお、憂樹だ！！
 
まだ心の準備が出来てないのに！！！
 
「・・・お待たせしました。何？」
「いや、もう挑戦終わったんでしょ？」
「まあね」
「結果を聞かせて頂けないかなあ、と思いまして」
「聞きますか・・・？」
 
 
 
・・・さあ、どうなるか。
 
 
 
つづく



↓宜しければ押してやって下さい