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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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今日は特に面倒な仕事も無く終わった。
うん、平和は良い事だ。

家に入ると、まだ誰もいない。まさともおばさんも帰っていないらしい。
普通に帰ると私が一番早い事が多い。



ピーピーピーピー



ん、電話だ。



・・・!!!



「もしもし」
『もしもし。こんにちわユキさん』
「・・・何よカオル。対決方法とかが決まったの?」
『いえ、それより先に話しておきたい事ができちゃいましてね』
「あら、何かしら」
『実は今、工藤さんに会いましてね』
「・・・!まさとに?」
『ええ。ちょっとお話をしまして』
「またくだらないちょっかいを出したんじゃないでしょうね?」
『それは無いですよ。もう必要がありませんから』
「じゃあ何だっての?まさか御丁寧に、会った事を報告するつもりでも無いんでしょ?」
『先日、僕が海浜公園でユキさんと工藤さんを会わせる様に仕組んだじゃないですか』
「・・・そうね」
『あれの理由を聞かれたユキさんは、僕が嫌がらせをしてるからだろう、と答えたそうですね』
「・・・!!」
『どうして本当の事を言わなかったんですか?工藤さんを好きになっているという気持ちを見抜かれ
 そこを突いて来るやり方をされたからだ、と』
「・・・必要が無かったからよ」
『必要とは?工藤さんを好きになっている気持ちの事を話す必要が無い、と言う意味ですか?』
「そうよ。私はまさとを好きになっている事は認める。
 でもそれは捨てるつもりだから、話す必要が無いと判断しただけよ。
 捨てるつもりの気持ちを話したって、面倒な事になるだけでしょ。
 そもそも、嫌がらせってのは間違ってないじゃない」
『あはは、やっぱりそうでしたか。そんな事だろうと思いました』
「アンタも物好きね。そんなくだらない事をいちいち言うなんて
 そんなに私に嫌がらせをしたいの?」
『いえ、そうじゃありませんよ。僕はユキさんに勝ちたいだけです』
「同じ事じゃない。その為にちくちくとダメージを与えようとしてるんでしょ」
『違います』
「何が違うの?」
『僕は、強いユキさんに勝ちたい、と言っているんです』
「・・・強い私に?」
『僕は、ユキさんに勝つ為に思い付く限りの事をして来ました。
 それこそ、卑怯者にも下衆な人間にもなりました』
「あら、自覚はあったのね」
『もちろんです。
 そしてそれは、ユキさんに勝つ為に。そこまでしないと勝てないと思ったからです』
「・・・良い心掛けじゃない。勝つ為には手段を選ばない。悪にも徹する。
 人としてどうかとは思うけど、そんな事を気にしない事も強さも一種よね」
『が、今のユキさんは、僕が勝とうとしたユキさんでは無い』
「・・・え?」
『工藤さんを好きになったからか。それとも工藤さんに心を許すようになったからなのか。
 どちらかは分かりませんし、どちらでも無いのかも知れないですが
 今のユキさんは腑抜けてしまっているんです』
「言ってくれるじゃない・・・。どうしてそんな事が分かるのよ?」
『だって工藤さんを好きになってるじゃないですか。誰も好きにならないって決めた筈では?』
「アンタね・・・。子供じゃないんだから、くだらない蒸し返し方をするんじゃないわよ。
 その話はアンタが事務所に来た時に話したじゃない」
『では、どうしてその気持ちを未だに捨ててないんですか?』
「・・・!!!」

あ・・・。

『確かにそこはお聞きしました。
 ですが、それならそれで、どうして未だに捨てずにいるのか。
 その理由を説明してみて下さいよ』
「それ・・・は・・・」
『そこが腑抜けてしまった、と言っている所なんですよ。
 理由を当ててあげましょうか?口では捨てると間単に言えますが
 実際に捨てる時になると決断出来ない。
 僕がさっき、理由を聞いた時に『そんな事だろうと思いました』と言いましたよね。
 あれは、そう言う意味でもあったんです』
「そう意味でもあった・・・?」
『そうやって言い訳をして、結局は先延ばしにしてしまっているだけだろう、と
 そんな風に考えていたんですよ。
 もしとっくに捨てているのであればユキさんは『捨てたから言う必要は無かった』
 なんて答えた筈じゃないですか』
「・・・!!!」
『しかし、ユキさんの答えはそうでは無かった。
 好きになった気持ちはまだ捨てていない。でも言わなかった。
 その理由は面倒な事になるだけだから、と。
 昔のユキさんなら、とっくに気持ちの整理をつけてしまい
 僕との勝負に徹してたんじゃないですか?』
「・・・・・・」
『少々、勝手な事を言いますが。
 さっきもお話ししたように、僕はユキさんに勝つ為に色々やって来ましたし
 人として最低な奴にもなったんです。
 ですがそれは、昔の強いユキさんに勝つ為であって
 今の腑抜けてしまったユキさんに勝つ為なんかじゃありません。
 そんなユキさんなら、別にどうこうしなくても勝てますからね』
「・・・・・・」
『出来れば・・・僕もここまでやってしまった以上は
 強いユキさんに勝ちたいんです。そうでないと汚れた意味が無い。
 昔の自分を取り戻して下さいよ。怖いくらいだったユキさんに。
 もちろん僕としては、勝てればそれで良いんですけどね。
 出来ればもっとこだわりたいですから』
「・・・・・・」



・・・覚えているのはそこまでだった。



電話は、後半はほとんどカオルが一方的に話していた。

その後にもまだ何か言っているみたいだったけど
放心状態に近かった私は、何を言っているのか聞こえなくなっていた。

気が付いたら電話は切れていた。
どうせ言いたい事を言うだけ言って、切ってしまったんだろう。



そして・・・。



私の目には涙が溢れていた。



時間にしてみればほんの数分の出来事だったけど
たったそれだけで、とてつもない悲しみが私を襲っていた・・・。



つづく



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