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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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俺は、ちょっとした買い物があり
大学の帰りにいつもと違う方へ向かった。

そして・・・。



「おや、工藤さんじゃないですか。こんにちわ」
「・・・!!」

秋山に会ってしまった。運が悪いにも程がある・・・。

・・・でも。
突然思い出したが、そう言えば秋山には聞いてみたい事があったんだ。

チャンスではあるし、聞いてみるか。

「・・・あのさ」
「はい?」
「ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」

もう秋山に敬語を使う気は無かった。
人を利用し、憂樹へ執拗な嫌がらせまでする奴に使いたくなんか無い。

「僕にですか?どうぞどうぞ」
「・・・ここじゃ何だし、向こうの方で話そうか」



そうして俺達は、邪魔にならないように小さな公園に来た。

「それで、お話って何ですか?」
「こないだ話した時、海浜公園で憂樹を見た理由は
 憂樹本人に聞けば分かるって言ってたよな」
「ええ」
「で、聞いたら・・・
 『私に嫌がらせをする為だろう』って言ってたんだよ」
「・・・!
 憂樹さんはそう答えたんですか?」
「そうだけど?」
「・・・・・・。
 はは、なるほど。そう言う事ですか。まあそれならそれも良いでしょう」
「?」
「それで、それがどうかしたんですか?」
「後から気付いたんだけど・・・
 何で、俺が海浜公園にいるって憂樹に教えられたんだよ?
 知ってなきゃ出来ない事じゃないか」
「ああ、それは簡単ですよ。と言うより、もう答えを自分で言ってるじゃないですか」
「え?」
「僕は知ってたからです。工藤さんがあの場にいた事を。
 そして、それは何故かと言うと・・・
 僕は工藤さんを尾行してたからです」
「な・・・!!」

こいつ、そんな事までしてたのか・・・!!!

「何で尾行なんか・・・!」
「情報収集の為ですよ。そうしないと攻撃の手段が見つからないもんで」
「攻撃の手段って・・・」
「おっと、御大層なお説教は結構ですよ。
 僕達と工藤さんとでは世界が違う故にやり方も違うと言う話はしたでしょう」
「・・・・・・」

確かに、今更何を言った所で同じだろう。
住む世界が違うから。やり方が違うから。それで切り捨てられるだけだ。

「じゃあ、今日会ったのも・・・まさか尾行してたからなのか?」
「それは違います。失礼な言い方で申し訳ありませんが
 もう工藤さんを尾行する必要は無いんです。用は済みましたから」

用済みだとでも言いたいのか・・・。
人を利用するだけしておいて何て言い草だ。

「そう言えば、まだ憂樹さんと関わってるんですか?」
「・・・!
 ああ、そう言えば関わらない方が良いって忠告してくれたよな。
 あいにくだけど、そうする必要は無かったんだよ」
「その理由は?」
「そこまで教える必要なんか無いだろ!」
「ははは、そうですか。いやあ、随分と嫌われてしまったようですね」

当たり前じゃないか・・・。自分が何をして来たか分かってないのか。

いや・・・、分かってない筈は無い。多分これは余裕の表れなだけだ。
別に、俺に嫌われても質問に答えて貰えなくても構わない、と言う。

「・・・それと、もう一つ聞きたいんだけど」
「おや、僕の質問には答えてくれないのに自分の質問には答えて欲しいんですか?」
「・・・!!」

嫌味な奴だ・・・。そして頭の回転が速い。
今言った事を、すぐさまこうやって切り返しに応用出来るとは上手いとしか言えない。

「まあ、良いでしょう。何です?」
「・・・・・・。
 随分前だけど・・・、俺と会った時に言ってたよな。
 『90%だったモノが100%になった』って」
(第百二十六話・『弱さと強さ 』より)
「そう言えば、そんな事もありましたねえ」
「あれってもしかして・・・。あの時点で既に憂樹への攻撃を考えていた。
 そして俺が女の子と会ってた事が、90を100に変えた
 いわゆる『10%』だったんじゃないのか・・・?」
「・・・!!
 凄いですね・・・。正解ですよ。いや、これは驚きました。まさかそこに辿り着けるとは」

秋山は本気で驚いているように見える。ここは演技では無く本当なんだろう。

「ご察しの通りです。僕はあの時点で、既に憂樹さんへの攻撃を考えていました。
 が、具体的にどうすれば良いのかは思い付かなかった」
「つまり、そう言う理由で90%止まりだった」
「その通りです。そこだけが足りなかった。
 そこさえ思い付ければ完璧だったんですが。
 そして、工藤さんがあの女の子と親しげに話していたのを見た。
 それで残りの10%が埋まったんですよ」
「お前・・・、そうまでして憂樹に勝ちたいのかよ?
 そこまで行くと、世界が違うとか、そんなんじゃ済まされないぞ!」
「随分と甘い事を言うんですね」
「甘い・・・!?」
「僕と憂樹さんの確執は、もはや命懸けの勝負だと言っても過言ではありません。
 お互いに自分の全てを懸けてますからね。負けた方は存在意義そのものを否定される事になる。
 それは殺される事と同意義なんですよ」
「な・・・」
「僕一人が大袈裟にそう思っているだけ、と思われそうですけど
 きっと憂樹さんもそう考えている筈ですよ。
 いえ、考えてくれていないと困ります。
 僕はそんな甘い人に勝つ為に色々やって来た訳じゃないんですから」
「・・・・・・」
「憂樹さんが一筋縄では勝てない人である事は、工藤さんも分かっていますよね?」
「まあ・・・それは」
「勝負と言うモノは、本当に勝たなければいけない時は
 やり方にこだわる訳にはいかないんですよ。
 ましてや、綺麗事なんかとんでもない。そんな物にこだわっていたら勝てる勝負も負ける可能性が出て来てしまいます。
 どんな手を使ってでも勝つ。それが僕達のやり方なんですよ。
 そこが住む世界が違うと言っている所でもあるんです」
「・・・!!!」

そう言えば・・・。



『本気で勝たなければいけない時は手段なんか選んでいられませんから』
『ハハハ、全くだ。兵法をわきまえてるなお前は』



仙台に行って総吉オジサンの挑戦状に答えた時・・・
憂樹は、そんな事を言っていた・・・!



「その様子ですと、心辺りがあるみたいですね?
 憂樹さんがそんな事を言っているのを見た、という所ですか?」
「・・・・・・」
「分かって貰えましたか?僕は決して間違った事を言ってるつもりは無いです。
 憂樹さんも同じ事をやっているのが間違っていない証拠・・・となりますかね」
「・・・よく分かったよ」
「前にも言いましたが、僕と憂樹さんは近々決着をつけます。
 工藤さんは、憂樹さんと関わり続ける事を選んだ以上は
 これから起こる事を受け止める義務がありますよ。
 まあ、憂樹さんがその義務を全うさせないで済むように配慮しているとも考えられますが
 現実は、そして真実は、そんなに甘いモノなんかじゃない。
 そこだけでも覚えおいて下さい」



・・・・・・。



悔しいけど・・・。
俺はまだまだ甘い人間だった。

秋山の言い分に、何も反論出来なかった。

俺は何も知らない・・・
何も分かっていない人間だ・・・。



自分の弱さは認識しているつもりだったが
こんなにショックを受けると言う事は、少なからず自惚れがあったんだろうな・・・。



情けない・・・。



情けなくて・・・、そして悔しかった。



つづく




     

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