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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「いやー。ごちそうさまでした、藤井さん」
「いえ、喜んで貰えたなら嬉しいです」
「さて・・・、これからどうしようか?」
「行きたい所があるんですけど、一緒に行きませんか?」
「うん、良いよ」



俺と藤井さんは店を出ると、話しながら歩いた。
他愛も無い雑談だったが、こうして話す機会ってのはあんまり無いし
ちょっと新鮮な感じだった。



そしてしばらくして、海の見える公園に着いた。



「あ、ここなの?」
「工藤さんも来た事あります?」
「まあ、ちょっとだけね」

とは言え、最近は全然来てないし
回数で言えばほんの数回だけ、ってところだろうけど。

「・・・あの、工藤さん」
「ん、何?」
「工藤さん・・・、前に好きな人がいるって言ってましたよね」
「あはは・・・。まあね」
「その人とは上手く行ってるんですか?」
「・・・どうだろう。行ってない事は無いだろうけど
 行ってるとも言えない状況かな。
 今の所、特に進展がある訳じゃ無いからさ。
 悪い意味で『現状維持状態』ってやつだと思う」

と言うか、憂樹が俺をどう思ってるかが分からないから
進展とかはしてない、と感じるだけでもあるが。



・・・でも、何でいきなりそんな事を聞いたんだろう。



「工藤さん」
「あ、はいはい」
「実はここ・・・、私にとっては思い出の場所なんです」
「思い出の場所?」
「私は・・・、ここで貴司に告白して付き合う事になったんですよ」
「・・・!」

・・・へえ。

「そうなんだ。それは確かに思い出の場所だね」
「工藤さん、気付いてました?
 私、もう指輪してないんですよ。ほら」
「・・・ホントだ」

藤井さんは左手を見せてくれたが
確かに指輪をしてない。貴司から貰ったイニシャル入りの指輪をしてた筈なのに。

言われるまで全然気付かなかった。
まあ、いちいち人の格好や付けてる物を気にする性格じゃないし
それはほとんどの人がそうだろうけど。

「どう言う意味だか分かります?」
「気持ちの整理をつける為・・・。じゃないの?」
「正解です。やっぱり鋭いですね」
「いやあ」

このくらいなら誰でも簡単に推測出来そうだけど
それは黙っておいた。

「じゃあ、今日ここに来た理由も分かりますよね?」
「・・・気持ちの整理を『完全に』つける為?」
「そうです」

当たった。これは自分でも凄いと思った。



「指輪は・・・、実はここにあるんですよ」

藤井さんはポケットから指輪を出した。

「どうするの?」
「・・・こうするんです」
「!!」

藤井さんは、何のためらいも無く
海に向かって指輪を投げ捨ててしまった。

かすかにだが「ポチャン」と言う、海に落ちた音が聞こえた。

「・・・大胆な事するね」
「これくらいしないと・・・、吹っ切れないですから」
「何か分かるな、それ。俺も藤井さんと同じ立場になったら
 きっと似たような事をすると思う」
「そう言ってくれると・・・、何か嬉しいです」
「じゃあ・・・、もうこれで完全に吹っ切れたのかな?」
「はい。おかげさまで。
 ・・・すいませんでした。お礼の筈なのにこんな事につき合わせちゃいまして」
「いや、構わないよ。
 と言うか、俺がいたからそこまで出来たんじゃないの?」
「・・・!」

何だかそんな気がした。ただの勘以外の何物でも無いが
ここまでするには俺が必要だった・・・。藤井さんはそんな風に考えそうだったからだ。

「・・・当たってます。本当に凄いですね」
「いやいや。勘で言っただけなんだよ」
「じゃあ・・・、これはどうですか?」
「え?」
「確かにこの公園に来たのは、貴司との思い出を吹っ切る為ですけど
 もう一つ、大きな理由があるんです。何だか分かりますか?」
「もう一つの理由?」

何だろう。見当もつかないけど。

「分かんないや。正解は?」
「・・・・・・。工藤さん・・・」
「はい」
「私と・・・付き合ってくれませんか」
「・・・・・・」



・・・・・・。



・・・ええっ!!??



「それって・・・、え、ええ!?」

・・・告白された。

あまりにの事に、ちょっと混乱状態だ。



「すいません、突然告白なんかして」
「いや・・・」
「でも・・・、私は本気なんです。
 お願いします!付き合って下さい!」
「・・・あのさ藤井さん。俺、もう好きな人がいるって言ったじゃん。
 さっきもその話をしたでしょ」
「でも、上手くは行ってないんでしょう?」
「う」

しまった。さっきの質問は、そこを確認する為だったのか
(別に「しまった」と言うほど、マズい問題でも無いんだけど)。

「駄目ですか・・・?」
「いや・・・、気持ちは凄く嬉しいんだけどさ・・・」
「工藤さんを好きでいる気持ちなら誰にも負けない自信はあります!
 進展も無い片思いの相手より、私の方が確実性がありますよ!!
 私に対しては恋愛感情は無かったでしょうけど・・・
 そんなの、付き合ってからでも十分生まれます!!!」


なかなか、上手い事を言ってくれるな。
ちょっといやらしいけど、それは本気の表れと言う事でもある。

・・・正直、ちょっと気持ちがぐらついてる。

確かに今ここで「良いよ」と言ってしまえば
それだけで俺に恋人が出来る。そこは間違い無い。
藤井さんの言い分は決して間違ってはいないだろう・・・。

「お願いします!」
「うお!」

急に俺に抱きついて来た。
俺の方が身長が高いから、藤井さんの頭が俺の胸の辺りに来るんだけど
藤井さんは頭を押し付けて来てる。

・・・大胆な事をするなあ。

さて、どうするか・・・。



と、その時。



「・・・!?」

何か嫌な予感がして、思わず横を見てしまった。
どうしてそんなモノを感じたかは分からない。しかし結果としてはそれは正しかったんだろう。

横を見ると、信じられない光景が目に入って来た。



「な・・・!!」



憂樹・・・!!!



少し離れた所に憂樹がいた。
目を見開き、明らかに驚いた顔でこっちを見ている。

そして俺と目が合った瞬間、逃げるように行ってしまった・・・。



何で・・・、憂樹がこんな所にいるんだ・・・!!??



つづく



※何故、憂樹はそこにいたのか!?
次回より五話連続で憂樹サイドストーリー!!
遂に秋山の策略が明らかになる・・・!!!




     

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