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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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「お待たせしました、椎名さん」
「あ、はい」
「とりあえず・・・、さっきの数字は暗号だと思われるので
 その暗号を解いてみました」
「え!?もう分かったんですか?」
「ええ、まあ。
 ただし、これが正解かどうかは試してみないと分かりません。
 ですので、これから椎名さんのお宅に伺って試しても宜しいでしょうか?」
「もちろんです!是非お願いします!」
「分かりました。では早速行きましょう」



そして俺達は、椎名さんの車に乗って家の方に向かった。

しばらくすると、馬鹿デカい屋敷が見えて来た。
あれの事か・・・。

「見えました。あれが私の家です」
「・・・大きいですね」
「いえ、それほどでも・・・」

この人、お嬢様だったのか。
どうりでこんな程度の事で依頼なんかして来る訳だ。金があるんだな。

「ところで椎名さん」
「あ、はい」
「さっきの暗号ですけど、あれはどこで見つけたんですか?
 何か出処がある筈でしょう。
 そもそも、あれを解いてみると何が分かるんですか?」
「祖父が亡くなる直前、遺言はここに書いてある、と
 あるROMの事を教えてくれたんです」
「ROM!?」

・・・何か何までそっちかよ。

「で、そのROMを調べてみたところ、さっきの数字が書いてありまして
 どうやらそれは金庫の鍵を開ける為の物らしいと言う事が分かったんです」
「金庫の鍵?もしかして番号ですか?」
「はい、そうです」
「・・・まさか、その数字が番号である、なんて事は・・・」
「それはありません。最初に試してみましたが違いました」
「そうですか。なら良いです」

これで、番号でした、なんてオチだったら
間抜け過ぎるからな。

「私には兄弟もいるんですが
 みんなその解読に必死なんです・・・」
「そうでしょうね。遺言の内容によっては
 遺産の自分に来る分が大きく変わって来る。
 ・・・もしかして会社の経営とかもやってますか?」
「はい。祖父が社長でして、兄達が副社長をやっています」
「そうなれば、お祖父さんが亡くなった以上は
 次の社長に就任する人間を選ばないといけない。
 だが、それが誰になるのか。その決定権はお祖父さんにある。
 遺産の分配もそうですが、みんなが一番気になっているのは
 実はその辺りなんじゃないですか?」
「きっとそうでしょうね・・・」
「椎名さんも、会社に関わってるんですか?」
「働いてはいますが、経営等は兄達に任せてますので
 私が社長ですとか重要なポストに就く事はまずありません」
「なるほど」

・・・・・・。

「マコト」
「はい」

俺は、小声でマコトに話し掛けた。

「今の話、メモしてたか?」
「もちろんです」
「よしよし」

こういう何気ない会話でも後々、重要な事に関わる可能性があるからな。
まあ暗号を解けばそれで終わりかも知れないが、念を入れておくに越した事は無い。



そして俺達は屋敷に着き、早速暗号の答えを試してみる事にした。

「では、こちらにどうぞ。あ、そうだ遠野さん」
「はい?」
「ここからは私の事は『美幸』と呼んで下さい。『椎名』では周りが混同しますので」
「分かりました」

しばらく行くと、金庫がある部屋に通された。

だが、そこには・・・。

「あれ?美幸姉さんじゃん」
「和馬・・・!あなた、いつ帰って来たの!?」
「さっきだよ。ま、三日前にも帰ったんだけどね。
 つーか、祖父さん死んだんだって?だったら俺にも遺産を貰う権利がある筈だろ?」
「それはそうだけど・・・」
「だから俺も貰いに来たって訳」
「・・・・・・」
「美幸さん、この方は?」
「私の弟で和馬と言います。数年前に家を出てから、たまに帰ったりもしましたが
 あまり顔を見せなかったのに・・・」
「何だよ。帰って来ちゃいけないの?」
「偉そうな事、言わないの!あなた、ただお金が欲しいだけなんでしょ!?」
「そうだよ。貰えるもんは貰わないと損だしね」

・・・こりゃまた、結構なワガママ坊ちゃんな事で。

「ところで姉さん。姉さんこそ、その人達誰さ?」
「遺言状を見る為に協力してくれる、調査員の方達よ」
「初めまして。遠野です」
「星野です」
「あー、暗号を解くってやつね。だったら無駄足だったよ」
「それはどう言う意味です?」
「それならもう、俺達が解いちゃったから」
「え!?和馬、あれが解けたの?」
「へへ、まあね」
「ちょっと待って下さい。今、『俺達が』って言いましたよね?
 と言う事は、他にも解いた人がいると?」
「お兄さん達?」
「違うよ。俺が連れて来た探偵さんだよ」
「・・・!」

この人も探偵を雇ったのか・・・!

「真壁さーん!ちょっと来て下さい!」

しばらくすると、スーツを着てかしこまった様子の男が来た。

「紹介するよ。俺が雇った探偵、真壁俊介さん。
 この人が暗号をあっさり解いてくれたんだ」
「初めまして。真壁です。
 ・・・あなた方は、もしかして同業者さんですか?」
「まあ、そう言う事になりますかね」
「やはり暗号を解きに?」
「ええ。でももう解いたと聞きましたが」
「はい。ちょっと苦労しましたが何とか解けました。
 今、和馬さんのお兄様方とお話をしていた所なんですよ」
「それは確認済みなんですね?」
「もちろん」
「ほほう・・・?」

・・・聞いてみるか。

「じゃあ、正解を教えて貰えませんか。
 俺は一応、『justice』って答えを出したんですが」
「不正解です」
「・・・!!」
「・・・そうですか」

そうじゃないかな、とは思ってたが
本当にハズレだったか。

「で、正解は?」
「それは教えられません」
「・・・何故?」
「言ってみれば、あなた方は部外者でしょう。
 いくら雇われたとは言え、正解が出たとなればこれ以上は知る権利は無い筈です」
「・・・確かにそうですね」
「気を悪くしないで下さいね。私も仕事ですから情報の漏洩は極力避けたいんです。
 迂闊に話してしまうと何が起こるか分かりませんから」
「いえ、あなたは正しいですよ。
 もし俺が逆の立場だったら同じ事をしていたでしょう」
「そうですか。分かって頂ければ幸いです」
「・・・じゃあ、帰ろうか星野」
「え、でも・・・」
「もう依頼された事は解決したんだ。これ以上いても無意味でしかない。
 美幸さん。こういう事になりましたから、料金の方は無しで良いですよ。
 何もしていないのに貰うと言うのは気が引けますから」
「いえ、せっかく来た頂いたんですし・・・」
「良いんですよ。出した答えも不正解だったんですし」
「はあ・・・」
「真壁さん」
「何ですか?」
「俺達は、とんだ邪魔者だったようです。邪魔者は大人しく消えますよ」
「はは、邪魔者だなんてそんな。気になさらないで下さい」
「どうも」



だが俺はこの時、今回の裏には何か陰謀めいたモノがあると感じとっていた。

証拠なんてある訳が無い。ただの勘。それ以外の何物でも無かった。

だから・・・、悔しいがどうする事も出来なかった・・・。

ただ、大人しく帰る事しか出来なかったんだ。



TO BE CONTINUED...



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