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様々な想いが交差する!3rdシリーズ『真実』編!!
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遂に、解答の時間がやって来た。
昼飯の後、それぞれの答えを発表する事になったんだ。

緊張するなあ・・・。ドキドキして来た。

「雅博、憂樹。どうだ?ちゃんと答えを出せたのか?」

・・・また秀一か。
絶対に絡んで来るとは思ってたけどさ・・・。

「秀一こそどうなの?
 まあ、和美とイチャイチャするくらいの余裕があるんだから大丈夫なのかしらね」
「な・・・!」
「アンタ、何でそれ知ってんの!?」
「あれだけ人目をはばからずに一緒にいれば馬鹿でも分かるでしょ。
 隠したいなら、もっと周りを気にする事ね。
 アンタ達は自分に自信があり過ぎて、周りが見えてないのよ。
 平たく言えば自惚れ過ぎって事ね」
「くっ・・・」

・・・・・・。

やっぱりそう言う事だったのか。

しかし憂樹もキッツイなあ・・・。



そして・・・。

遂に発表の時になった・・・。

「さあて、それじゃあお前らの答えを聞かせて貰おうかな?」
「総吉オジサン」
「何だ秀一?」
「始める前に、一つお話しておきたい事があります」
「何だ、言ってみろ」
「今回、誠に勝手ではありますが、僕と和美、透、晋哉の四人で答えを出させて頂きました。
 その代わり、雅博と憂樹も二人で答えを出す事になりました」
「どうしてそんなやり方にしたんだ?」
「それは・・・」
「まあ言わなくて良い。ワシには分かってる」
「はい?」
「どうせ、お前ら四人と、雅博、憂樹との因縁に決着をつける為に
 そう言う勝負の形にしたんだろ?」
「・・・!」

・・・!!

総吉オジサンは、俺達の仲が悪い事を知ってたのか・・・!!

「何だ?ワシが、お前らがいがみ合ってる事に気付いてないとでも思ってたのか?」
「いや・・・、その・・・」
「ワシを甘く見るなよ。そんなつまらん争い事はお前らだけで解決するべきだと思って
 敢えて何も言わずにやらせてやってただけだ。とっくの昔に気付いとったわ」

さすがと言うべき所なのかな・・・。凄い。

「それじゃあやっぱり、僕らの優劣をハッキリさせる為に・・・」
「寝惚けた事を言うな!そんなくだらん事、誰がやるか!
 最初に言っただろう。単純にお前らへ挑戦状を突き付けたかっただけだ」
「すいません・・・」

・・・憂樹が「そんな訳無い」と言ってたけど、当たってたか。

憂樹が「やっぱりね」とでも言いたげにちょっと笑ってるのが見えた。

「まあ、そんなくだらん邪推は気にしないでおこう。
 そんな事より、お前らがどんな答えを出したか、の方が気になるからな。
 早速答えを言ってみてくれ」
「はい、それでは・・・」

秀一達はどんな答えを出したんだろう・・・。

「正しいのは・・・、獅子です」
「ほう、何でだ?」
「まず最初に、ヤギを嘘つきだと確定させるます。
 『嘘を見抜けない時、嘘をついてるのは私』だと言っていますが
 ヤギは最初から嘘つきなんだって事にすれば良いんです。
 『嘘を見抜けない時』ではなく『最初から』嘘をついてる、と言う事に」
「・・・ほう」

・・・!

それって・・・。

「今度は龍を嘘つきだと確定させます。
 獅子の言い分は、あくまでも『ヤギが嘘つきなら』っていう
 仮定前提のモノなので、それでは見抜いてる事になりません。
 ですから龍の言い分は獅子と関係の無い事を言っている、とします。
 つまり獅子は見抜いてる訳では無いので
 『見抜いてる者がいれば』と言うのは嘘と言う事に出来ますので
 これにより、ヤギは嘘をついていますし、龍も嘘をついてる、と言う事となり
 獅子の言い分が正しい事になります」
「ふうん・・・。なるほどなあ・・・」

・・・・・・。

それって・・・、憂樹がとりあえず出した答えと同じじゃないか・・・。
しかも、これじゃ駄目だと思うと却下したやつだ・・・。

「ま、一応は理にかなっているわなぁ」
「ありがとうございます」
「それがお前ら四人の答えか?」
「はい、僕達全員で辿り着いた答えです」
「まあ良いだろう。じゃあ今度は雅博、憂樹。お前らの番だ」

・・・俺達の番だ。
心臓がバクバク言い出した・・・。

次の瞬間、憂樹が立ち上がった。

「雅博、座ってて良いよ」
「え」
「私が説明するから。任せといて」
「うん・・・、じゃあお願い」

憂樹が小声でそう言ってくれた。
まあ俺は憂樹の出した答えを聞いてないし、他の答えなんて用意してないし
情けないけど、憂樹に任せるしか無いんだよな・・・。

「お前らも二人で一つの答えか?」
「ハイ。色々考えましたが、良い答えと言うのは沢山ある訳でも無いので
 どうしてもこれ以外、これ以上の答えは見つかりませんでした」
「ハハハ、なかなか上手い事を言ってくれるな。
 だがそこまで言った以上、半端な答えでは済まされんぞ?」
「大丈夫です。きっと満足して頂けるかと」

・・・凄い自信だ。ある意味、秀一達より凄い。

「では、言ってみろ」
「ハイ。それは・・・」

憂樹の答えを聞く為に、食堂が静寂に包まれた。

俺はもちろん、全ての人が憂樹の言葉に耳を傾けているようだ。

「正しい事を言っているのは・・・、誰もいません」
「・・・何!?」

・・・え!?

誰も・・・いない!?

「どう言う意味だ憂樹?」
「そのままの意味です。この問題は、どうしても矛盾が出て来てしまう。
 と言う事は、正しい事を言っている者なんていないと言う事です」

・・・・・・。

それは・・・、俺が言った事だ。
正解なんか無いって事になってるんだから、それを言えれば良いのに、と。

まさか・・・それをそのまま言うなんて・・・。

「ほう・・・。随分と大胆な事を言ってくれるな。
 じゃあ聞くが、この問題を出した奴は何の為に『正しい事を言っているのは?』と聞いた?」
「問題を解く人間を騙す為です」
「何!?」
「この問題そのものが、間違っているんです。
 『問題』として最低限の定義である『正解がある』と言うモノを満たしていない。
 正しい事を言っているのは誰、と問い掛ける事で正解が出せる問題だと思わせ
 問題を出した・・・エピメニデスは、回答者を無限ループに迷わせた。
 そうやって相手を陥れる事こそが、エピメニデスの真意だったんです。
 でなければ、こんな矛盾が生じる問題を出す筈が無い」

・・・・・・。

物凄い答えだ・・・。完全に問題そのものを否定してしまっている。

論理的にありえないから、正解が無い。
正解が無いと言う事は、問題を出した人が間違っている。
つまり、『正解が無い』ってモノこそが正解だって事か・・・。

エピメニデスまでも否定してしまうなんて・・・。

でも、こんな答えで本当に良いのか・・・?

「と、言う訳です。どうでしょう?何か文句はありますか?」
「・・・!」
「!!!!!!」

な・・・!!!

憂樹・・・!!!

「文句はありますか」って・・・
総吉オジサンに何て事を・・・!!!

「・・・・・・」

総吉オジサンも凄く驚いた顔になってる。

俺達は・・・オジサンが怒り出すんじゃないかと思い固まってしまった。



ほんの少しの静寂の後・・・

「フ・・・」
「!?」

総吉オジサンが反応し始めた・・・。

「フハハハハハハハ!!!」

・・・!?

笑い始めた・・・。

「ハハハハ!!聞いたかお前ら!!!
 コイツこのワシに向かって、文句があるかと抜かしよった!!!
 そんな上等な口をきかれたのは何年振りかな!!
 それも孫に言われるたぁ、長生きはするもんだ。ハハハハハ!!!」
「・・・・・・」

予想に反して、総吉オジサンは凄く嬉しそうだ・・・。

「・・・で、どうでしょうか?採点の方は?」
「フン、文句なんぞある訳が無い。合格だ。お前らの勝ちだよ」
「・・・!」
「ありがとうございます」

通った・・・!あの答えで・・・!

「ちょっと待って下さい!!」
「んー?何だ秀一?」
「納得出来ません!あんな滅茶苦茶な答えのどこが正しいって言うんですか!」
「お前は正しくないって言いたいのか?」
「当たり前です!あんな答え・・・」
「そうですよ!論法も何も無視しまくってます!
「エピメニデスまで否定して、失礼過ぎです!」
「納得出来ません!」

秀一達全員が抗議してる。大騒ぎだ・・・。

「まだ分からないのかお前らは!!!」
「・・・・・・」

総吉オジサンが物凄い声で一喝した。

その迫力に、一瞬で食堂が凍りついたような感じになった。

「誰が綺麗な答えを出せと言った?ワシは『ワシを納得させろ』と言ったんだ。
 確かにお前らの説明は理にかなってるかも知れんが
 ハッキリ言ってつまらないんだよ」
「つまらない・・・?」
「ワシもこの問題がどんな問題だか知っとるわ。正解なんぞ無いって事もな。
 だから敢えて、こんな問題を出してやったんだ。
 学歴だ、成績だでガチガチに凝り固まったお前らの頭を砕いてやる為にな」
「・・・・・・」

憂樹と同じような事を言ってる。
秀一達は頭が固いって事を・・・。

「ところが雅博と憂樹は、こんな大胆な答えを持って来やがった。
 まさか問題そのものを否定するたぁ予想外にも程がある。
 分かるか!?お前らに足りないのは、この柔軟さと大胆さなんだ!!
 何と出題者に喧嘩を売る!!これくらいやらずにワシを納得させられると思ったのか!?」
「それは・・・、その・・・」
「まあ、今回こう言う場だからこそ言えた事でもあるがな。世間には発表出来ん。
 半ば反則的な答えだが、反則行為こそ実戦では有利とよく言われる。
 したたかな事をやってくれるなあ、憂樹?」
「本気で勝たなければいけない時は手段なんか選んでいられませんから」
「ハハハ、全くだ。兵法をわきまえてるなお前は。それも秀一達との違いだな。
 どうだ?これでも納得行かんか?行かないなら遠慮なく言ってみろ」
「いえ、ありません・・・」
「じゃあそう言う事だ。雅博、憂樹。お前らの勝ちだ」
「ありがとうございます」
「ありがとう・・・ございます・・・」

勝った、のか・・・。俺達が・・・。

「しかし、憂樹」
「はい?」
「ここにいた時も思ってたが、お前はとんでもなく強い目をしてるな」
「そうですか?」
「お前は19だったな」
「はい」
「19歳程度でそんな眼光持ってる奴、ワシは見た事無いぞ。
 しかも今のお前は、前より更に強くなってる。
 相当な覚悟を持って相当な修羅場をくぐって来た奴の目だ。
 そうでもないと、そこまで強くはならない。
 それは、お前のやりたかった事と関係あるんだろ?」
「・・・はい」
「まあ、頑張れ。お前ならやっていける。そう思わせる目をしてるぞお前は」
「・・・ありがとうございます」
「雅博」
「あ、はい!」
「お前、憂樹とつるんでるんだろ?」
「はい。一緒に住んでますし・・・」
「お前の顔が良いモノになった理由が何となく分かった。
 憂樹と一緒にいるからだな。まあ、他にもいろんな経験をしてるんだろうが」
「はい・・・」

鋭い・・・。
大人ならではの洞察力ってやつなのかな・・・。

「秀一、透、晋哉、和美。
 これからは勉強以外の事もやった方が良いな。またこいつらに負けたくなければ、な」
「・・・はい」



そして俺達は土産を買い、東京に帰る事になった。

「楽しかったね」
「まあ・・・、ね」

緊張したり余裕が無かったりで、あんまり楽しむ暇は無かったが
秀一達を負かせられたし、とりあえず良かった。

「秀一達、悔しそうな顔してたね」
「そうだね」
「あれで素直に負けを認めて、もっと色んな事を吸収するようになれば
 かなり強くなるんだけど・・・、どうだかね。プライドが高いから素直に認めないかも」
「そうなのかな・・・」
「まさとが総吉オジサンに褒められたのは、素直に負けを認めて強くなる努力をしたからだよ。
 昨日も言ったでしょ?自分の弱さを受け止める。負けを認める事が大事だって」
「うん・・・」
「ま、そう言う事です。帰ったらまた頑張ろうね」
「分かった」



負けを認める、か・・・。
確かに俺は負けを認めざるを得なかった。
そして、認めたからこそ悔しくて悔しくて仕方なくって
だから強くなりたいと切実に思うようになり、憂樹について行ったんだ。

それは・・・、間違ってなかったって事か。

良かった。何も知らない総吉オジサンにまでそう言って貰えたら
実感が今まで以上に湧いて来た。

これから、もっともっと強くならないと・・・。



・・・あれ?

「ねえ、憂樹。今、俺の事まさとって・・・」
「スー・・・」

・・・寝てる。
よく寝るな、憂樹は・・・。

まあ、もう「雅博」って呼ぶ必要が無くなったから切り替えただけかな。



これでまた、今までと同じ生活に戻ると・・・

この時は、そう思っていた。

だがそれは・・・、俺が甘かったんだろうか・・・。

運命の女神は、既に俺への嫌がらせを始めていた事に気付いていなかった・・・。

いや、気付ける筈も・・・無かったんだ・・・。



つづく(↓重大発表アリ!)



↓宜しければ押してやって下さい

     

さて、仙台編が終わりましたが。

次回から、番外編が始まります!

何と、ジュンを主人公にしたスピンオフシリーズ!
タイトルは『another story from jun』です!

舞台は、まさとと憂樹が仙台に行っている三日間の裏側。
この間に何が起こっていたのか?ジュンとマコトの下に来た『依頼』とは?

ユキのいない状況下、ジュンは問題を解決出来るのか!?

『another story from jun』、次回よりスタート!
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